落語「狸の札」の舞台を行く 五代目柳家小さんの噺、「狸の札」(たぬきのさつ)より
■狸(たぬき);体長約50~60cm。体重3~10kg。冬場に向けてのタヌキは長短の密生した体毛でずんぐりとした体つきに見えるが、足も尾も長いが尾は地面に着かない。体色はふつう灰褐色で、目の周りや足は黒っぽくなっているが、稀に全身真っ白な白変種の個体も存在する。 幼獣は、肩から前足に掛けて焦げ茶の体毛で覆われており、有効な保護色となっている。成熟すると目立たなくなる。
食肉目(ネコ目)の共通の先祖は、森林で樹上生活を送っていたが、その中から、獲物を求めて森林から草原へと活動の場を移し、追跡型の形態と生態を身につけていったのがイヌ科のグループである。タヌキは湿地・森林での生活に適応したイヌの仲間であり、追跡形の肉食獣に較べて、水辺の生活にも適した体型である。胴長短足の体形等、原始的なイヌ科動物の特徴をよく残している。
タヌキは人家近くの里山でもたびたび見かけられ、日本では古くから親しまれてきた野生動物。昔話やことわざにも登場するが、そのわりに、他の動物との識別は、必ずしも明確にはされてこなかった。 タヌキと最も混同されやすい動物はアナグマであり、「タヌキ」「ムジナ(貉)」「マミ(猯)」といった異称のうちのいずれが、タヌキやアナグマ、あるいはアナグマと同じイタチ科のテンやジャコウネコ科のハクビシンのような動物のうちのいずれを指すのかは、地方によっても細かく異なり、注意を要する。
たとえば、関東周辺の農村部には、今もタヌキを「ムジナ」と呼ぶ地域が多い。山形県の一部には「ホンムジナ」とよぶ地域もあった。栃木県の一部では、「ムジナ」といえばタヌキを指し、逆に「タヌキ」の名がアナグマを指す。タヌキとアナグマを区別せず、一括して「ムジナ」と呼ぶ地域もある。タヌキの背には不明瞭な十字模様があるため、タヌキを「十字ムジナ」ということもある。
たぬきぷろじぇくとさんのホームページより 間違ったたぬき。小型犬みたいな狸より右の方がらしい。
これも、可愛いが陶器製の狸の方がらしい。
■狸寝入り(たぬきねいり);眠っているふりをすること。そらね。たぬきね。たぬきねむり。
■色紙;小さんはよく狸の色紙を書いていました。「他を抜く」ということで、小さんと言えばタヌキです。
■五円紙幣(ごえんしへい);日本銀行券(日本銀行兌換銀券、日本銀行兌換券を含む)の1つ。旧五円券、改造五円券、甲号券、乙号券、丙号券、丁号券、い号券、ろ号券、A号券の九種類が存在する。
旧五円券
日本銀行兌換銀券 額面5円(五圓) 表面 彩紋 裏面 大黒像 寸法 縦87mm、横152mm 発行開始日 明治19年(1886)1月4日
通用停止日 昭和14年(1939)3月31日。
改造五円券 日本銀行兌換銀券
額面5円(五圓) 表面 菅原道真 裏面 彩紋 寸法 縦95mm、横159mm 発行開始日 明治21年(1888)12月3日 通用停止日
昭和14年(1939)3月31日。
甲号券 表面 武内宿禰と宇倍神社
裏面 英語表記の兌換文言
発行開始日 明治32年(1899)4月1日
通用停止日 昭和14年(1939)3月31日
乙号券 表面 菅原道真
裏面 北野天満宮と英語表記の兌換文言
発行開始日 明治43年(1910)9月1日
通用停止日 昭和14年(1939)3月31日
5円札は全部で9種類。子狸がよくそれだけの紙幣を観察識別できたものだと感心しています。今の1000円札でも、皆さん詳しく識別できますか。肖像画は誰でどちら側にいますか、透かしは有りますか、どちら側でその図柄は。で、裏のデザインは? 意外と詳しくは分からないものです。正解は・・・、自分の札を出してご覧下さい。
■葉書の料金
子狸君、葉書をお札に化かして使っていますが、狸の手から離れると、間もなく力が失せて葉書に戻ってしまいます。戻ったら、宛先や氏名が入っていますから、犯人は直ぐに露見してしまいます。と、思うのですが・・・。
■勘当(かんどう);主従・親子・師弟の縁を切って追放すること。江戸時代には、不良の子弟を除籍することも行われた。義絶。勘当をしないと、親子親類まで累が及ぶので縁切りをハッキリさせるために勘当帳があった。江戸時代、勘当(久離)の届出を町年寄または奉行所で記録しておく帳簿。久離帳。記録しないのは内証勘当という。
■越後から来る縮屋;越後(新潟)の名産、縮(ちぢみ)織りがあった。そこから江戸に売りに来る行商人。
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