落語「ん回し」の舞台を行く 三遊亭小遊三の噺、「ん回し」(うんまわし)より
■出典;文化年間(1804-1818年。町人文化が顕著に発展した時期)に江戸落語が出来た頃から有ると言われる噺で、多人数の集まり、特に、遊里・宴会などでの多人数の客が出る、大一座物の代表と言われた噺。この噺は「寄合酒」の一部として出来たもの。決まった筋はなく、何処で切っても良く、決まったオチも有りません。実に伸縮自在な噺で、新しいギャグを入れたりアドリブを入れることも自由、演者の創意工夫が楽しめます。
■落語「寄合酒」概略;各自肴を持ち寄りで吞むことにした。
■木の芽田楽(きのめでんがく。このめでんがく);豆腐を細長く切って竹串を打ち、みそを塗ってあぶった料理。田楽豆腐の略。田楽の名は串に刺した豆腐の形が長い棒に横木をつけた鷺足(さぎあし)に乗って踊る田楽法師の姿に似ているためだという。やがてこれに倣って、こんにゃく、サトイモなども作られるようになり、さらには魚を材料とするものも現れ、これを魚(うお)田楽、略して魚田(ぎよでん)といった。こうして《守貞漫稿》が〈今ハ食類ニ味噌ヲツケテ焙(あぶり)タルヲ田楽ト云、昔ハ形ニ因テ名トシ、今ハ然ラズ〉というように、串に刺さず、ただ、みそをつけて焼く料理一般をも田楽と呼ぶ風を生じた。田楽に丁寧語の”お”を付け、末尾を省略したのが”おでん”です。
■銀座。新橋。虎ノ門。電車。120円;電車とは東京都の路面電車”都電”の事。東京都が経営する路面電車は、最盛期には41系統が存在し、総延長は213kmに及んだが、自動車の増加による運行の困難と交通局の経営悪化によって1967年から1972年にかけて181kmの区間が廃止され、都営バスや都営地下鉄、営団地下鉄(現・東京メトロ)に転換された。現在は専用軌道を走る荒川線のみが存続しています。
・銀座(ぎんざ);東京都中央区の地名で、旧京橋区の地域にある。日本有数の繁華街であり下町の一つでもある。東京屈指の高級な商店街として、日本国外においても戦前よりフジヤマ、ゲイシャ、ミキモト、赤坂などとともに知られる。「銀座」の名は一種のブランドになっており全国各地の商店街には「○○銀座」と呼ばれる所がそこかしこに見受けられる。銀座の地名の由来は、江戸時代に設立された銀貨幣の鋳造所のことで、慶長6年(1601年)に京都の伏見に創設されたのが始まり。後1800年に東京の蛎殻町に移転して以来、元の「新両替町」の名称に代わり「銀座」として親しまれるようになり、この地名が定着した。また、銀座四丁目交差点周辺は商業地として日本一地価の高い場所としても知られる。
銀座六丁目の歩行者天国
・新橋(しんばし);港区新橋。上記銀座の南側に位置する。新橋には新橋駅が有り、東日本旅客鉄道(JR東日本の山手線、京浜東北線、東海道本線、横須賀線)・東京地下鉄(東京メトロ銀座線)・東京都交通局(都営地下鉄浅草線)・ゆりかもめの駅がある。東海道新幹線は新橋駅の側面を通過していきます。
・虎ノ門(とらのもん);東京都港区にある町名。現在の町丁名としては虎ノ門一丁目~五丁目がある。
■金看板『根本万金丹』(きんかんばんこんぼんまんきんたん);金色の看板に、根本(物事のおおもと。本家)の万金丹。
■銀看板『根元反魂丹』(ぎんかんばんこんげんはんごんたん);銀色の看板に書かれている本家製造の反魂丹。
■瓢箪看板(ひょうたんかんばん)、灸点(きゅうてん);瓢箪形の看板には灸点処と記されていた。
■半鐘(はんしょう);小形の釣鐘。火の見櫓の上部などに取り付け火災・洪水発生・非常時などに鳴らし、地域の消防団を招集するとともに近隣住民に危険を知らせた。
地域毎に鐘の打ち方が定められ、火災の大まかな場所や災害の種類が分かるようになっていた。
もとは寺院で時間を境内の僧侶に知らせるために使用されているもので、現在も法要開始などの合図用として使用している。明治時代以降、近年まで用いられていた。
現在、それらの多くはサイレンや市町村防災行政無線などに役目を譲っており現存するものは消防団が活躍する一部地域を除いて地域のシンボル代わりに残されている場合がほとんどである。もっとも、東海地震の警戒宣言が発された際には従来どおり使用される(鳴らし方が定められている)。
「自身番屋」広重画 自身番屋の屋根上に設けられた半鐘を叩いています。東京・消防博物館蔵
2016年5月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |