落語「祇園会」の舞台を行く 古今亭志ん生の噺、「祇園会」(ぎおんえ)別名「都見物祇園祭」より
■祇園祭(ぎおんまつり);京都市東山区の八坂神社(祇園社)の祭礼で、明治までは「祇園御霊会(御霊会)」と呼ばれた。貞観年間(9世紀)より続く。京都の夏の風物詩で、7月1日から1か月間にわたって行われる長い祭である。
■京都八坂神社(きょうと やさかじんじゃ);京都市東山区祇園町北側625。全国にある八坂神社や素戔嗚尊を祭神とする関連神社(約2,300社)の総本社である。通称として祇園さんとも呼ばれる。7月の祇園祭(祇園会)で知られる。
八坂神社は、元は感神院という天台宗の寺院で、古くは比叡山延暦寺の天台座主が住職を兼務したという由緒のある寺院でした。この感神院の末社に、「祇園社」という神仏混淆の社があり、ご本尊は牛頭(ごず)天王です。明治維新の廃仏毀釈によって、仏教寺院の感神院は廃寺となり、替わって末社の「祇園社」が、八坂神社と名称を改めて、感神院の施設を引き継ぎました。また祇園社のある地域は「祇園」と呼ばれています。
■この噺は、「三人旅」の一部で東海道を上っていくものですが、発端の部分は、
志ん生は時間の関係で、京と江戸のお国自慢はサラリと演じています。 続きがあって、
大坂者のとりなしで何とか騒ぎも一段落し、八っつあんが「芸妓を一人買ってみてえ」と言い出した。 しかし、今は祭礼の真っ最中。茶屋に残っている芸妓にはろくなのがおまへんと女将さんは渋い顔だ。 それでも一人いるにはいるが、その女は欲が深く、客の商売に応じて「あれが欲しい、それが欲しい」と無心ばかりするので評判が悪いのだという。 茶屋の女将が渋るのを、「八が、ねだってもとてもやれないような商売を言うことにしよう」と提案したので、それはおもろいとみんな賛成する。 やってきたのは亀吉という芸妓。 鴨川の水で洗いあげ、なかなかいい女だが・・・。案の定、いきなり「お客はん商売は何どす?」ときたから一同呆れた。
■妙国寺の蘇鉄(みょうこくじのそてつ);妙国寺は大阪府堺市堺区にある日蓮宗の本山。
■続飯(そくい);(ソクイイの約) 飯粒を練って作った糊。そっくい。
■粟田口(あわたぐち);京都市東山区北西端の地区。東海道の山科から京都への入口にあたり、古くから街道の要地として発達した。この地には天台座主の門跡寺院である青蓮院があり、また鎌倉時代、刀工粟田口派の人々の住居があった。
刀工粟田口については、落語「粟田口」をご覧下さい。
■先斗町(ぽんとちょう);上記粟田口の西南に八坂神社があり、鴨川を渡ったその西側に先斗町があります。
■江戸の名物;『武士鰹大名小路生鰯、茶店紫火消錦絵、火事喧嘩伊勢屋稲荷に犬の糞』、または、
■水道(すいどう);江戸の市内には神田上水と多摩川上水が引き込まれ、飲料水として使われていました。
水道水は右側の本管から枝管を通って左側のマスの中に入り、そこから別れて井戸に入ります。その水を桶で汲み上げます。 東京都水道歴史館
■灘の酒(なだのさけ);ただの酒ではありません(笑)。志ん生は灘と言っていますが、灘は兵庫県神戸市です。祇園祭の行われる京都は地元のお酒で伏見の酒が有名です。
■神田祭り(かんだまつり);東京都千代田区の神田明神で行われる祭礼のこと。山王祭、深川祭と並んで江戸三大祭の一つとされている。京都の祇園祭、大阪の天神祭と共に日本の三大祭りの一つにも数えられる。なお祭礼の時期は現在は5月の中旬。
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