落語「羽衣の松」の舞台を行く 古今亭志ん生の噺、「羽衣の松」(はごろものまつ)より
■羽衣伝説;昔々、三保に伯良という漁師がいました。ある日のこと、伯良が松の枝に掛かっている美しい衣を見つけて持ち帰ろうとすると、天女が現れて言いました。「それは天人の羽衣です。どうかお返しください」。ところが伯良は「天人の羽衣なら、お返しはできません」、と言いました。すると天人は「その羽衣が無いと天に帰ることが出来ません」、と言って懇願しました。伯良は天上の舞を舞うことを約束に羽衣を返しました。天女は喜んで三保の春景色の中、羽衣をまとって舞いながら、富士の山に沿って天に昇って行きました。(羽衣の松にある説明板より)
三保半島は、安倍川から海へと流された土砂が太平洋の荒波に運ばれ、日本平を擁する有度山を削りながら出来た砂嘴である。何百年にわたり流された土砂(漂砂)が静岡海岸、さらには清水海岸に幅百mを超える砂浜を作り、現在の清水港を囲む三保半島、および三保の松原の砂浜を形成した。
羽衣伝説の舞台でもあり、浜には天女が舞い降りて羽衣をかけたとされる「羽衣の松」があり、付近の御穂神社(みほじんじゃ)には羽衣の切れ端といわれるものが保存されている。
(ウイキペディアより)
右図:「駿河と三保の松原」 広重画
左:三代目羽衣の松。 右:清水港周辺の空中写真。画像右側(東側)の砂浜に見える松林が三保の松原。
■千葉市にも羽衣伝説;現在県庁本館のある場所にかつて1本の松があった。その松に天人が羽衣をかけて休んでいたが、それを領主の千葉常将が隠してしまったので、仕方なく妻となり常長という子を生んだが、ある時、羽衣を見つけるや昇天したという。
羽衣の松(由来)むかし、千葉の亥鼻(いのはな)城下に、千葉(せんよう)の蓮の花の咲きほこる池田の池という美しい池があり、その周辺は蓮の花盛りのころには、多くの見物人でにぎわっていた。いつのころからか静まりかえった夜半になると、ここに天女が舞いおり、かたわらの松の枝に羽衣を掛け、蓮の花の美しさに見入っていたという。
■天女(てんにょ);天女は、天部に住むとされる女性のことで、天帝などに仕えているとされる女官の総称である。人間界においては容姿端麗であることを除けば人と大きく変わるところはなく、羽衣と呼ばれる衣服で空を飛ぶとされるが、この羽衣を奪われたばかりに天に帰れなくなり、地上の男性と婚姻する話(羽衣伝説)などが伝えられている。
羽衣伝説は日本(北海道から沖縄まで)や朝鮮半島などの各地に伝説が伝わっており、民俗学の上では渡来人説から異類婚姻譚の一つである白鳥処女説話の一種とする説がある一方で、果てはオーパーツ / オーバーテクノロジー信奉者らによる宇宙人と見なす説までみられる。
東京・浅草寺、本堂の天井に描かれた天女。堂本印象画
■三十二相(32そう);仏がそなえているという32のすぐれた姿・形。
経典により多少の相違がある。仏像及び仏画はこれに倣って作成される。 1.
足下安平立相(そくげあんぴょうりゅうそう):足の裏が平らで、地を歩くとき足裏と地と密着して、その間に髪の毛ほどの隙もない(扁平足)。 2.
足下二輪相(そくげにりんそう):足裏に輪形の相(千輻輪)が現れている。仏足石はこれを表したもの(魚の目)。 3. 長指相(ちょうしそう):10本の手指(もしくは手足指)が長くて繊細なこと。 4. 足跟広平相(そくげんこうびょうそう):足のかかとが広く平らかである。 5. 手足指縵網相(しゅそくしまんもうそう):手足の各指の間に、鳥の水かきのような金色の膜がある。 6. 手足柔軟相(しゅそくにゅうなんそう):手足が柔らかで色が紅赤であること。 7. 足趺高満相(そくふこうまんそう):足趺すなわち足の甲が亀の背のように厚く盛り上がっている。 8.
伊泥延腨相(いでいえんせんそう):足のふくらはぎが鹿王のように円く微妙な形をしていること。伊泥延は鹿の一種。 9.
正立手摩膝相(しょうりゅうしゅましっそう):正立(直立)したとき両手が膝に届き、手先が膝をなでるくらい長い。 10. 陰蔵相(おんぞうそう):馬や象のように陰相が隠されている(男根が体内に密蔵される)。 11.
身広長等相(しんこうじょうとうそう):身体の縦広左右上下の量が等しい(身長と両手を広げた長さが等しい)。 12.
毛上向相(もうじょうこうそう):体の全ての毛の先端が全て上になびき、右に巻いて、しかも紺青色を呈し柔軟である。 13.
一一孔一毛相(いちいちくいちもうそう):身体の毛穴にはすべて一毛を生じ、その毛孔から微妙の香気を出し、毛の色は青瑠璃色である。 14. 金色相(こんじきそう):身体手足全て黄金色に輝いている。 15. 丈光相(じょうこうそう):身体から四方各一丈の光明を放っている(いわゆる後光(ごこう))。光背はこれを表す。 16. 細薄皮相(さいはくひそう):皮膚が軟滑で一切の塵垢不浄を留めない。 17. 七処隆満相(しちしょりゅうまんそう):両掌と両足の裏、両肩、うなじの七所の肉が円満で浄らかである。 18. 両腋下隆満相(りょうやくげりゅうまんそう):両腋の下にも肉が付いていて、凹みがない。 19. 上身如獅子相(じょうしんにょししそう):上半身に威厳があり、瑞厳なること獅子王のようである。 20. 大直身相(だいじきしんそう):身体が広大端正で比類がない。 21. 肩円満相(けんえんまんそう):両肩の相が丸く豊かである。円満。 22. 四十歯相(しじゅうしそう):40本の歯を有し、それらは雪のように白く清潔である(常人は32歯)。 23. 歯斉相(しさいそう):歯はみな大きさが等しく、硬く密であり一本のように並びが美しい。 24. 牙白相(げびゃくそう):40歯以外に四牙あり、とくに白く大きく鋭利堅固である。 25. 獅子頬相(ししきょうそう):両頬が隆満して獅子王のようである。 26. 味中得上味相(みちゅうとくじょうみそう):何を食べても食物のその最上の味を味わえる。 27.
大舌相(だいぜつそう):舌が軟薄で広く長く、口から出すと髪の生え際にまで届く。しかも、口に入っても一杯にはならない。 28. 梵声相(ぼんじょうそう):声は清浄で、聞く者をして得益無量ならしめ、しかも遠くまで聞える。 29. 真青眼相(しんしょうげんそう):眼は青い蓮華のように紺青である。 30. 牛眼瀟睫相(ぎゅうごんしょうそう):睫が長く整っていて乱れず牛王のようである。 31. 頂髻相(ちょうけいそう):頭の頂の肉が隆起して髻(もとどり)の形を成している。肉髻(にくけい)。 32. 白毫相(びゃくごうそう):眉間に右巻きの白毛があり、光明を放つ。伸びると一丈五尺ある。 ・風俗三十二相 月岡芳年画 東京国立博物館蔵 (32相の内6枚)
■八百万の神(やおよろずのかみ);数多くの神。すべての神のこと。類似の語に八十神(やそがみ)、八十万神(やそよろずのかみ)、千万神(ちよろずのかみ)がある。森羅万象に神の発現を認める古代日本の神観念を表す言葉。
■小野小町(おののこまち);
「うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人めをもると見るがわびしさ」 『古今集』
「ともすればあだなる風にさざ波のなびくてふごと我なびけとや」 『小町集』
「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に」 『古今集』
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