落語「雛鍔」の舞台を行く 三代目三遊亭金馬の噺、「雛鍔」(ひなつば)より
■雛鍔(ひなつば);古典落語の演目の一つ。原話は、享保18年(1733年)に出版された笑話本「軽口独機嫌」の一遍で、「全盛の太夫さま」。 全盛の吉原の太夫が、
百文のつなぎ銭(穴あき一文銭を百枚、縄に通したもの)を蛇と思い込んで驚き、 梯子から落ちたのをまねして失敗する話。
■『御太刀の鍔』;上方版「雛鍔」です。金を知らない子供が、大富豪の「ぼんぼん」という設定になっている。
内容そのものは東京の演出と大差ないのだが、そこに含まれるニュアンスは大阪の商業主義都市で金銭感覚が薄いというのは、どんなものなのでしょうか。
江戸の都市は武家社会ですから町人も影響を受けていて、「武士は食わねど高楊枝」とか、「宵越しの金は持たない」など、落語「三方一両損」でも語られるように、金銭に対しては希薄を粋としたところがあります。
■四文銭(しもんせん);明和5年(1768)以降鋳造されたもので、
青銭ともいいました。裏に波模様が描かれているのは真鍮四文銭で、波模様は「青海波」(せいがいは)というもので、1768年に発行されたのは21波、翌年から11波に変更されています。
波銭には二十一波と十一波があります。波形が刻まれているものが四文、刻まれていないものが一文として区別されていました。
写真:左、波銭の二十一波。 右、十一波の四文銭。
亀戸銭座跡;江東区亀戸二丁目。寛文8年(1668)江戸亀戸村において幕府直轄にて鋳造したのが始まりです。
写真:亀戸銭座跡
■お雛様の鍔;イイ見立てですが、男の子が居ると、刀を引き抜いてチャンバラごっこを始めたりします。雛壇の上に、モグサと線香を置いておくこともあります。それは男の子除けにお灸のセットを置いておくのです。
雛人形の中で、刀を持っていそうな家来達。
■泉水(せんすい);庭園の中にある池。いずみ。
■出入り止め;商売をしていて、出入りの業者がレベルが低かったり、思うように動いてくれないときは、お客さまが「出入り止め」宣言をすると、仕事が出来なくなります。熊さんは反対に職人側から店に宣言したのです。店側もビックリしたでしょうね。
■寺子屋(てらこや);江戸時代に多くあった営業的手習所。寺子を扱う職業の意。
子供達も飽きてくると、あらら、こんな状況です。「畫本弄」下河邊拾水著 江戸東京博物館蔵。
2016年7月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |