落語「おしくら」の舞台を行く 三笑亭夢楽の噺、「おしくら」(おしくら)より
■「おしくら」;枕芸者のこと。落語「三人旅」の『発端』、『びっこ馬』、『鶴屋善兵衛』
と噺が続き、この小田原の宿・『鶴屋善兵衛』の宿で起こる夜のドタバタ劇です。通称「三人旅」の下。「朝ばい」、「神奈川宿」、「鶴屋善兵衛」、「おしくら」、「尼買い」とも。
■飯盛女(めしもりおんな);表向きは宿屋の女中が、半ば公然と夜のお相手をしていた宿場女郎。幕府公認の吉原以外は、遊女屋の看板は上げられないが、街道筋の宿屋は2名だけ飯盛女を置くことが許された。
しかし、大勢の旅人相手には2名では当然足りず、女中や下女が女郎の役を果たした。
『岐阻街道
深谷之駅』、渓斎英泉画。飯盛女が描かれている。
■定宿(じょうやど);いつもきまって宿泊する宿。常宿。
■与太さんの知力;鶴屋善兵衛と咄嗟に読めてしまう実力には完敗。いつもの与太さんと大違い。
『東海道五十三次・御油』 歌川広重画部分。「留め女」と呼ばれる旅籠の女が旅人らを無理矢理引きずり込もうとしているさまを描く。右側には足を洗って貰う旅人がいます。
■足洗ってくれる;江戸、明治時代は街道は舗装されていなく、ホコリまみれで、宿に着くと、当然ホコリにまみれた足を女中さんが洗ってくれた。
■風呂ふたくできて;風呂の支度できて。小田原では『風呂』と言ったのでしょうが、江戸では『湯』と言いました。
■夜伽(よとぎ);女が男の意に従って共に寝ること。枕のとぎ。
■惣嫁(そうか)、草餅、ダルマ、ざるそば;惣嫁=上方で、路傍で売淫する最下級の淫売婦。草餅=草の上で餅を搗くから。ダルマ=直ぐ転ぶから、ざるそば=?。 青森地方では同じようにお饅頭といった、甘い物が苦手な、ある小説家は女中の勧めで「饅頭は食べないか」と言われ、ムキになって断ったが、後で考えると・・・。
■年増(としま);娘盛りをすぎて、やや年をとった女性。江戸時代には20歳過ぎを言った。年増の中でも年かさの女を、大年増と言った。また、中ぐらいの年増で23、4歳から28、9歳ごろの女を、中年増と言った。広辞苑
■柳橋(やなぎばし);花柳界で芸娼妓の社会。花街。東京には赤坂、新橋(銀座)、神楽坂、浅草、芳町(人形町)、向島、柳橋等があった。
■左褄(ひだりづま);(左手でつまをとって歩むからいう) 芸妓の異称。
■お灯明(おとうみょう);神仏に供える灯火。みあかし。「お灯明をあげる」。
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