落語「豊竹屋」の舞台を行く 三遊亭円生の噺、「豊竹屋」(とよたけや)より
■義太夫(ぎだゆう);義太夫節の略。特に関西で浄瑠璃の異名。
・浄瑠璃(じょうるり);三味線伴奏の語り物音楽のひとつ。室町末期に始まり、初めは無伴奏(時に琵琶や扇拍子)で語られた「浄瑠璃姫物語」が広まり、他の物語を同じ様式で語るものをも浄瑠璃と呼ぶに至る。江戸時代の直前、三味線が伴奏楽器として定着し、同じころに人形芝居と、後には歌舞伎とも結合して、江戸初期以降、上方でも江戸でも庶民的娯楽として大いに流行する。多くの浄瑠璃太夫が輩出し、発声・曲節・三味線が多様化し、初期には金平節・播磨節・嘉太夫節などの古浄瑠璃が盛行、義太夫節・半太夫節・河東節・大薩摩節・一中節・豊後節・宮薗節・常磐津節・富本節・清元節・新内節など、江戸後期までに数十種の流派が次々に派生した。なかでも元禄時代、竹本義太夫・近松門左衛門らによる人形浄瑠璃の義太夫節が代表的存在となり、浄瑠璃の称は義太夫節の異名ともなっている。
■落語家で義太夫が本格的に語れるのは円生しかいません。円生は6歳の頃、母親の豊竹小かなの三味線で寄席の舞台に立ちました。芸名、豊竹豆仮名大夫で、義太夫を語り、寄席を掛け持ちで母親と回っていました。2~3年後に伊香保に出掛けました。子供のことで坂の多い町中を走っていたら、階段でつまずいて胸を強く打って動けなくなった。医者が声を搾って語っていると、身体に無理が掛かり早死にすると宣告され、やむを得ず親が「何になりたい」と言うので、噺家になると言って許して貰って、橘家円童(たちばなや
えんどう)と言う名で高座に上がるようになった。(三遊亭円生「書きかけの自伝」より)。
■花梨胴八(かりんどうはち);カリンの木で三味線の胴を作ることから、それをもじった名です。
■三味線堀(しゃみせんぼり);上野不忍(しのばずの)池南端から東に流れ出た、”忍川(しのぶがわ)”
が小島一丁目5番に有った三味線の形に似ていたので、三味線堀という堀に流れ落ちた。忍川が最初に横切る街道が御成街道(中央通り)ですが、この場所を火伏せの為道幅を広く取っていて、下谷広小路と言った。第16話「黄金餅」で出てきた三橋が架かっていた所です。
三味線堀は、「佐竹通り南口」交差点角にあります。区の11階建て集合住宅で、1階に三味線堀商店街があります。丁度このビルの敷地全部が三味線堀の胴であったのでしょう。交差点角に三味線堀の説明板が付いています。過去にはこの商店街で建てた碑があったのですが、手狭になって撤去されています。上図。
右図;三味線を弾く女(喜多川歌麿「江戸の花 娘浄瑠璃」 享和3年(1803年))
■湯屋(ゆや);上方では風呂屋、江戸では湯屋と銭湯のことを言いました。江戸の湯屋は、熱好きのお客のためにピリピリするほどの肌に食いつくような熱い湯温です。そこに入って長湯をすれば、結果は当然、水をかけられる状態の湯のぼせになってしまいます。
■飯の菜(めしのな);食事のおかず。
■煮干し(にぼし); 煮て干すこと。また、煮て干した食品。特にカタクチイワシなどを煮て干したもの。主に、ダシの材料にする。だしじゃこ。いりこ。ダシを取ったら汁から引き上げるが、カルシウムなどの栄養があるからと、家庭では取り出さないことがある。家庭の味噌汁の具では、豆腐、ワカメ、長ネギがベストスリーです。
■チンドンヤ(ちんどん屋);人目につきやすい服装をし、太鼓・三味線・鉦・らっぱ・クラリネットなどを鳴らしながら、大道で広告・宣伝をする人。関西では「東西屋」「広目屋(ヒロメヤ)」という。
■シャボン(sabo ポルトガル・jabn スペイン);石鹸。
■天神さん(てんじんさん);菅原道真の神号。(道真を火雷天神とする信仰が起り、後に京都に北野天神が創建された)
。江戸には有名なところで、湯島天神、亀戸天神があります。
・湯島天神は、文京区湯島三丁目30番。正式には「湯島天満宮」という。祭神は天乃手力雄命(あめのたぢからをのみこと)と、菅原道真公を祀る。雄略天皇の勅命により、御宇2年(458)創建と伝えられ、天乃手力雄命を奉斎したのがはじまるで、降って正平10年(1355)2月菅公の偉徳を慕い、文道の太祖と崇め本社に勧進しあわせて奉祀し、文明10年(1478)10月太田道灌これを再建した。元禄16年(1703)の火災で全焼し、宝暦元年(1707)再建したが、平成7年老巧化のため総檜の新社殿が建立された。(湯島天神記より)。富くじ開催地として江戸の三富のひとつ。
また、北野天神の縁日が25日だったので、揚代が銀25匁であった遊女を天神さんという。 遊女の階級のひとつ。太夫に次ぐもの。
■リンを振った~、ゴミ屋;私の若い頃、ごみの収集にはリンを振って来たものです。それまではゴミを出さずに各家庭で保管しておいて、リンがなると一斉に奥様達が出て来て、収集車に入れたものです。今では先に出しておいて、決まった時間に黙って収集していきます。
■襦袢(じばん);じゅばん。肌につけて着る短衣。はだぎ。垢取り。汗取り。じゅばん。
■トコロテン(心太);(「心太ココロブト」をココロテイと読んだものの転か)
。テングサを洗ってさらし、煮てかすを去った汁を型に流しこんで冷却・凝固させた食品。心太突きで突き出して細い糸状とし、芥子醤油・酢・黒蜜などをかけて食べる。寒天からもつくる。こころぶと。
■カンテン(寒天);乾燥寒天を冷水に浸し沸騰させて炭水化物鎖を溶かし、他の物質を加えて漉し、38℃以下に冷ますことによって固める。寒天はゼラチンよりも低い、1%以下の濃度でもゲル化が起こる。一度固まった寒天ゲルは85℃以上にならないと溶けないため、温度変化に強く口の中でとろけることがない。食用のゲル(ゼリー)の材料という点では、牛や豚から作られるゼラチンに似ているが、化学的には異なる物質。
■雪隠(せっちん);便所。かわや。せんち。(雪竇禅師(セツチヨウゼンジ)が浙江の雪竇山霊隠寺で厠の掃除をつかさどった故事からという)。
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