落語「しの字嫌い」の舞台を行く 三遊亭円生の噺、「しの字嫌い」(しのじぎらい)より
■上方の『正月丁稚』(東京では『かつぎや』)の前半部分が独立したもの。
原話は、明和5年(1768年)に出版された笑話本『絵本軽口福笑ひ』にある小咄。
■曽呂利 新左衛門(そろり しんざえもん)は、落語家の名跡。二代目の死後は空き名跡となっている。
■下男(げなん);下働きの男。しもべ。下僕。(女性では下女)。
■煙草盆(たばこぼん);喫煙用の火入れ・灰吹(ハイフキ)などを載せる小さいはこ。右図。
■水掛け論(みずかけろん);(ひでりの時、百姓が互いに自分の田へ水を引き込もうとして争うことから)
双方が互いに理屈を言い張ってはてしなく争うこと。みずかけあい。
■給金(きゅうきん);給料として渡される金銭。給銀。下男として働くには口入れ屋を通して働くが、その時契約書をお互いに取り交わす。その契約書に契約内容が記されており、大きく変更があれば清蔵が言うように、それは認められない。
■さし;(「緡」とも書く) 銭差(ゼニサシ)。銭貫(ぜにつら)。銭縄(ぜになわ)とも言う。 さしを使って一定枚数を束ねた銭を貫、九六銭などと言った。銭の穴に通して銭を束ねるのに用いる細い紐(ひも)。わら、または麻で作る。
左、さしに纏められた100文が2本で、200文。 右、200文が五つで1000文=1貫文。
■四(し);日本では四は死に通じると言って嫌います。四も『し』ではなく『よん』と呼べば事足りますが・・・。
■銭(ぜに);四貫四百四十四文は、この銭は十進法ですから、1貫は1000文です。また、1両は江戸の初期では公定歩合で4貫文、1両は4000文。中期以降になるとインフレで5貫文となります。5貫文の時代、1両=5000文です。この噺では1両に556文届かない金額です。
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