落語「紙くず屋」の舞台を行く 春風亭小朝の噺、「紙くず屋」(かみくずや)
落語にも紙屑屋さんが出てくる「子別れ・上」、「らくだ」、「井戸の茶碗」等がそうです。また、羅宇屋さんは「紫檀楼古木」に、オワイやさんは「汲みたて」、「ざこ八」に、タガ屋さんの噺は「たがや」に描かれています。古着の噺では「江島屋騒動」、「五月雨坊主」、「八百屋お七(くしゃみ講釈)」が有りますし、鋳掛け屋さんは「いかけ屋」、焼き接ぎ屋は「両国八景」、などがあって、江戸庶民を描いた落語の世界には多くのリサイクル業者が生き生きと登場します。
ことば
■居候(いそうろう);遊びすぎた若旦那などが、勘当されて他人の家に寄食すること。また、その人。
■クロモジ(黒文字);クスノキ科の落葉低木。高さ2m余。樹皮は緑色で黒斑があり、それを文字に見たてたのが名の由来という。雌雄異株。春、葉に先だって淡黄色の花を多数、散形につける。果実は小球形で、黒熟。材は香気をもち小楊枝や箸を製する。この木から作るので、「つまようじ」の別称。
■カラス;汚れて黒くなった紙だから”カラス”。寺子屋の生徒さんは習字のお稽古で、一枚の紙を大切に使いますから、真っ黒になるまで書き込みました。
■センコウ紙;線香のように煙を出してタバコも燃えます。タバコの包装紙はそれを包んでいるので、俗に線香紙と言ったのでしょう。
■陳皮(ちんぴ);ミカンの皮を乾かした生薬。去痰・鎮咳・発汗・健胃剤として薬用、また七味唐辛子の薬味料とする。香辛料としては柚子皮をも使用。
■珊瑚の五分玉(さんごの5ぶだま);サンゴ虫の群体の中軸骨格。広義には珊瑚礁を構成するイシサンゴ類を含むが、一般には桃色サンゴ・赤サンゴ・白サンゴなどの真性サンゴ類の骨格をいう。装飾用などに加工。右図:珊瑚珠。広辞苑
■都々逸(どどいつ);流行俗謡のひとつ。雅言を用いず、主に男女相愛の情を口語をもって作り、ふつう七・七・七・五の4句を重ねる。「潮来(イタコ)節」「よしこの節」より転化したという。天保(1830~1844)年間、江戸の寄席でうたいはやらせた一人が都々逸坊扇歌。
■纏(まとい);馬じるしの一種で、竿の頭に種々の飾りをつけ、多くはその下にばれんを垂れた。これを模して、江戸時代以降、火消組のシンボルとしたもの。
■勧進帳(かんじんちょう);歌舞伎十八番のひとつ。三世並木五瓶作。天保11年(1840)河原崎座の中幕に七代市川団十郎が初演。弁慶らが山伏姿となり、義経に従って奥州に向かう途中、安宅関で関守富樫左衛門の厳しい詮議に遇い、南都東大寺の勧進と称し、勧進帳を読み上げ、怪しまれた主を折檻して、ようやく通過した苦衷を仕組んだもの。能「安宅」の改作。
・本朝二十不孝(ほんちょうにじゅうふこう);浮世草子。井原西鶴作。5巻5冊。貞享3年(1686)刊。二十四孝をもじって、不孝者が天罰を受ける話を集めた短編小説集。
・与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし);歌舞伎脚本のひとつ。9幕。3世瀬川如皐作の世話物。通称「切られ与三」。嘉永6年(1853)初演。複雑なお家騒動の筋であるが、伊豆屋与三郎と木更津の博徒の妾お富との見初め、露見、再会が中心で、特に再会の「源氏店(玄冶店ゲンヤダナ)」が強請場(ユスリバ)として有名。
・お富与三郎 与話情浮名横櫛(源氏店の場) 落語「お富与三郎」を参照
■恋文は、
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