落語「牡丹灯籠・栗橋宿」の舞台を行く 六代目三遊亭円生の噺、「牡丹灯籠・栗橋宿」(ぼたんどうろう・くりはしじゅく)より
■牡丹灯籠・お札はがしのあらすじから;
左、信三郎は二人の幽霊に逢う。 右、殺したお峰が見世の者に取り憑いてうわごとを言い始める。世界文庫・牡丹灯籠挿絵より
■牡丹灯籠(ぼたん どうろう);怪談牡丹灯籠は、明治の三遊亭圓朝、江戸時代の25歳の時の作品。落語の怪談噺。
江戸時代末期の1861~1864年頃、浅井了意による怪奇物語集『御伽婢子』、深川の玄米問屋に伝わる怪談、牛込の旗本家で聞いた実話などに着想を得て創作された。速記本が明治17年(1884)に刊行されている。
このうち『御伽婢子』は、中国明代の怪奇小説集『剪灯新話』に収録された小説『牡丹燈記』を翻案したもので、若い女の幽霊が男と逢瀬を重ねたものの、幽霊であることがばれ、幽霊封じをした男を恨んで殺すという話だった。
圓朝は取材で、紀行文『上野下野道の記』に栗橋宿を訪れた円朝が笹屋に宿泊していることなどから、モデルがあったと考えられています。また、『上野下野道の記』の中で円朝は、「(栗橋宿は)牡丹灯籠の友蔵の産地なり」と自ら記しています。
長編人情噺の形をとっており、多くの部分に分かれていますが、六代目三遊亭圓生はお露と新三郎の出会いを「お露新三郎」・お露の亡魂が新三郎に通い祟りをなすくだりを「お札はがし」。
■実はこの噺は幽霊の所だけでは、魚の半身と同じで、もう一つの筋が流れていて、最後の方で話が合流します。その話も主役級の筋になって居ます。長い話になりますから、短く別ページでご紹介しましょう。
■栗橋宿(くりはしじゅく);栗橋宿は、利根川の舟渡しの町として賑わい、また、関東平野北辺に対する警備の地として、関所が設けられた重要な地だった。現在、所々に古い家並みが残り、宿場の情緒を今に残している。宿場のはずれ右手に本陣跡がある。栗橋宿の開発者池田鴨之助の子孫池田由右衛門が本陣を勤めた。本陣の特徴である奥まった家の表札は「池田」となっている。その向かいは脇本陣跡。
現在、栗橋町(くりはしまち)とは、かつて埼玉県の東部北に存在した人口約2万7千人の町。北葛飾郡の最北端に位置していた。2010年(平成22年)3月23日、久喜市、南埼玉郡菖蒲町及び北葛飾郡鷲宮町との新設合併により消滅した。現在でも旧栗橋町域を総称して栗橋地区という。
■幸手のお祭り(さってのおまつり);幸手市は埼玉県東部にある人口約5万人の市です。江戸時代から日光御成街道と日光街道(奥州街道)の合流点に位置する宿場町として栄えていた。市内には徳川将軍が日光東照宮へ墓参する際に立ち寄った聖福寺や明治天皇が行幸した折に宿泊した行在所跡が残る。市の西寄りを南北に東武日光線と国道4号線(日光街道)が縦断しており、東武日光線幸手駅とその東側の旧道(旧・日光街道)、国道4号線を中心に宅地を中心とする市街地が広がる。市街地の外側では水田地帯の中に集落が散在している。
東武日光線の幸手駅が市の中心部に有り、北隣の栗橋町には同線の南栗橋駅と栗橋駅が接続しています。
yahoo地図より栗橋・幸手部分切り抜き及び書き込み。
■幸手堤(さってづつみ);『牡丹燈籠』 惨劇の場。“幸手堤”
とはどこだろう?http://open.mixi.jp/user/809109/diary/540168608 より下敷きにして考えます。
私は、地図をくまなく調べていると、「古利根川」が幸手の西側に接して流れています。現在は古利根川と言いますが、当時は新利根川だったのではないかとの疑問も出て来ました。この古利根川は利根川の本流で有ったと言われます(栗橋町・幸手市での解説)。そこで、栗橋町と幸手市の担当者に伺いました。両者結論は分かりませんとのことで、江戸時代この地は何度も大洪水に見舞われ、利根川が何処を流れたかは時代によって変わってしまい、何処をどう流れたかは分からなく、また、人為的に利根川の付け替えなども行われ益々分からなくなっています。大洪水の折、古資料はそのたびごとに流されて、今は細かいことが分かりません。
■江戸荒物(えどあらもの);笊(ザル)・箒(ホウキ)・塵取りなどの雑貨類。荒物を売る店。江戸から直接仕入店頭に並べていて安かったので大繁盛した。
■馬方(うまかた);駄馬をひいて客や荷物を運ぶことを業とする人。まご。
■百両(100りょう);幽霊お露さんから巻き上げた金子。今の貨幣価値にして約800~1000万円になります。大金です。
■料理旅籠(りょうりはたご);料理を出すのが本業であったが、旅籠としての利便性も兼ね備えていた。
■海音如来(かいおんにょらい);和尚は寺宝・海音如来の仏像を貸してくれ「これを肌身離さず、それから魔除けのお札を家中の窓に貼り付けておくように」と固く言いつけた。その金無垢の海音如来は200~300両で売れると値踏みしています。
■盆灯籠(ぼんちょうちん);盆提灯はお盆のとき、先祖や故人の霊が迷わず帰ってくる目印として飾ります。盆提灯は迎え火・送り火の大切な役割となるのです。
■道中差し(どうちゅうざし);近世の庶民が護身用として旅行中に携帯を許された脇差。武士の大刀よりやや短い。短いと言っても、刀は刀ですから、お峰さんもさぞ無念だったでしょう。
2018年3月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |