落語「つづら間男」の舞台を行く 六代目五街道雲助の噺、「つづら間男」(つづらまおとこ)より
■裁縫(さいほう);江戸時代、嫁としたら常識的に反物から着物ぐらい縫えた。それが嫁入りの大事な資格で、母親に習うとか、町の縫い物や手習い所に通って習った。子供の着物をおカネさんは当たり前のように縫い上げていた。
■七両二分(7りょう2ぶ);間男の世間相場は七両二分と言われた。
■間男(まおとこ);夫のある女が他の男と密通すること。また、その男。情夫を持つこと。男女が私通すること。
旅から帰った亭主に驚き、裏から逃げ出す間男
■葛籠(つずら);衣服を入れる、アオツヅラの蔓で編んだかご。後には竹やヒノキの薄板で作り、上に紙を貼った。つづらこ。吉蔵の家の葛籠には既に質物になるような着物も入っていなかったので、伊勢屋の旦那が入れる余裕が充分有った。
左、武家大名が使った葛籠。江戸東京博物館蔵。 右、極普通の葛籠。正面にカギが着いていて、反対側には背負うための肩紐が付いていた。
■博打(ばくち);(バクウチの約) 。
■成田(なりた);千葉県北部の市。新勝寺(成田不動)の門前町として発達。新東京国際空港がある。成田山新勝寺は、真言宗智山派の大本山のひとつで、弘法大師空海が敬刻開眼した不動明王の御尊像を御本尊として開山された不動尊信仰の総府です。古来より、お不動さまの御霊験ご
■荒物屋(あらものや);笊(ザル)・箒(ホウキ)・塵取り、鍋釜などの雑貨類を商う店。
■ヘビの生殺し(へびのなまごろし);ひと思いに殺さず、半死半生にして苦しめること。
■質屋(しちや);質物を担保として質入主に金銭を貸し付けることを業とする者。また、その店。江戸時代の重要な庶民金融機関。中世には土倉と呼んだ。質店。
■美人局(つつもたせ);「筒持たせ」の意か。もと博徒(バクト)の語という。「美人局」の文字は「武林旧事」などに見えて、中国の元(げん)の頃、娼妓を妾と偽って少年などをあざむいた犯罪を言ったのに始まる。
■私が売られて;吉原や歓楽街の見世に、女性を女郎の目的で見世に売り金銭を受け取る事。実際は数年契約で前金を受け取り、そのまま逃亡する。三十以上の大年増だったら、金額も少なく、追加で請求されるかも。
■奉紙(ほーがみ); 「奉書紙(ほうしょがみ)」の略。コウゾで作った上質の和紙。
■左官(さかん);建物の壁や床、土塀などを、こてを使って塗り仕上げる仕事、またそれを専門とする職種のこと。「しゃかん」ともいうこともある。右図:江戸職人図聚 「左官」 三谷一馬画
■親方(おやかた);左官の責任者を特に親方と呼んだ。大工のことは棟梁(とうりょう。とうりゅう)、鳶(とび)は頭(かしら)と呼んだ。
■百(100);100文のこと。七両二分から見たら端金。
■見立て(みたて);見て選び定めることで、選定。鑑定。 落語「お見立て」の墓を見立てるのとはチョッと違います。
■利(理)を入れておきます; 質屋だけあって、最初から利息を入れておけば流質の期間が延びる事と、葛籠に入った旦那に真理、社会の常識を入れる事を掛けたオチ。
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