落語「秋刀魚火事」の舞台を行く 桂三木助の噺、「秋刀魚火事」(さんまかじ)
■大家(おおや)と地主(じぬし)と店子(たなこ);大家(大屋・家守・家主)は地主から依頼されて長屋を管理する差配人。その長屋などに住むのが店子であって、大家の支配の元で暮らした。そのため、大家を親と見立て店子を子と見立て「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」と言う言葉が発生した。子の悩みについては親同然の対応をしたので、長屋の連中の地主に対しての理不尽な要求にも親として助言したのがこの噺です。おさらいをすると、地主が建てた長屋に、借家人である店子が入居し、それを管理するのが大家さん。でも、この大家さん自分の主である油屋さんに反抗して、店子の肩を持っています。
■吝い(しわい);金銭などを出し惜しみするさま。けち。しみったれ。吝嗇(りんしょく)。
■潮干狩り(しおひがり);江戸っ子は”ひ”と”し”が言い分けられなくて、「ひおしがり」と発音しています。潮干狩りは遠浅の砂浜で、砂中の貝などを採取することで、東京湾では、シジミ、蛤、バカ貝、マテ貝などが捕れた。貝拾い、貝掘りなどとも言う。春の季語にもなっています。
東京湾の品川沖で潮干狩りを楽しむ人達。広重画
■蛤(はまぐり);二枚貝の代表的な貝で、東京湾はハマグリの一大産地であったが、昭和後期にはほぼ全滅してしまった。食べて美味しく、ハマ鍋、焼ハマ、お吸い物、酒蒸し、等で食べられる。特に婚礼の蛤のお吸い物は欠かせません。
■珊瑚の五分玉(さんごのごぶだま);サンゴ虫の群体の中軸骨格。広義には珊瑚礁を構成するイシサンゴ類を含むが、一般には桃色サンゴ・赤サンゴ・白サンゴなどの真性サンゴ類の骨格をいう。装飾用などに加工。右図:珊瑚珠。広辞苑
■唐茄子のお化け(とうなすのおばけ);唐茄子とはカボチャの別名。ふつう日本カボチャをいう。カボチャに目鼻を付けてロウソクを灯せばハロウインのカボチャ人形です。
■七輪(しちりん);木炭や豆炭を燃料に使用する調理用の炉。「七厘」とも書く。関西では「かんてき」ともいわれる。右写真。
■秋刀魚(さんま);体は細長く、上下顎はくちばし状で下顎は上顎より突出した形状。体の背部は暗青色、腹部は銀白色。胃が無く短く直行する腸が肛門に繋がる。腸が短いため摂食した餌は、20分から30分程度の短時間で消化され体外に排出される。
鱗が小さい上にはがれやすく、網で漁獲されたものは水揚げされる際にほとんどの鱗がはがれ落ちてしまう。特に日本では脂が乗った秋の味覚を代表する大衆魚です。
目黒駅前の「目黒のさんま祭り」にての、火事かと思うほどの煙です。
■蔵の目塗り(くらのめぬり);大店では財産を守るために蔵を建てていた。その蔵の出入り口や窓を火災時、閉め、その他の小穴やヒビの隙間に、用心土という粘土のような土を外側から塗り込んだ。
■石町(こくちょう);東京都中央区の地名。江戸時代には金座が置かれており、現在は金座跡地に日本銀行が建ち、古今を通じて日本の金融を代表する町として知られている。日本橋川のある南から順に、一丁目から四丁目が並ぶ。この地はもと石町(こくちょう)と呼ばれていたが、寛文年間に神田に新石町(しんこくちょう : 現在の内神田三丁目付近)が出来たので本石町と呼ばれるようになった。
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