落語「写経猿」の舞台を行く 六代目三遊亭円窓の噺、「写経猿」(しゃきょうざる)より
■原典(げんてん);『古今著聞集』にある仏教説話を三遊亭円窓が落語化したもの。
原作は猿が写経を頼み、お礼に果物などを持ってくるが、姿が見えなくなったので探すと、お礼の山芋を掘ろうとして穴に落ちて死んでいるのを見つける。40年後、この地の守(かみ)となった人がその猿の生まれ変わりだとして三千部の経文を書き上げる。
時代は寛平六(894)年 宇多天皇~承平四(934)年 朱雀天皇の時代。
■中条(なかじょう);乙宝寺を舞台とする三遊亭圓窓作の「写経猿」に登場。中条町は合併して、現在は胎内市。中条駅から出ていた乙宝寺行きのバスは廃止されてしまった。そのお寺は現在でも、新潟県北蒲原郡中条町にあります。
■古今著聞集(ここんちょもんしゅう);鎌倉時代、13世紀前半の人、伊賀守橘成季によって編纂された世俗説話集。単に『著聞集』ともいう。事実に基づいた古今の説話を集成することで、懐古的な思想を今に伝えようとするもの。20巻30篇726話からなり、『今昔物語集』に次ぐ大部の説話集。建長六年(1254)10月頃に一旦成立し、後年増補がなされた。今昔物語集、宇治拾遺物語とともに日本三大説話集とされる。
■乙宝寺(おっぽうじ);新潟県北蒲原郡中条町。現・新潟県胎内市乙1112番地、真言宗智山派
如意山乙宝寺と言います。インド僧婆羅門(バラモン)僧正は、当寺にお釈迦様の左眼を納めて乙寺と名づけたといわれています。右眼は中国に納められ甲寺と呼ばれました。
平安時代後白河天皇は、左眼を納める金塔を寄進して、乙寺から乙宝寺に改名されたといわれております。右写真:本堂(金色堂)。
■法華経(ほけきょう);正法華経・妙法蓮華経・添品妙法蓮華経をいう。一般に、妙法蓮華経の略称。
「妙法蓮華経」序品第一(上)、方便品第二(下)の出だし部分。
この妙法蓮華経は仏陀の生涯を描いており、読み下すと素晴らしいストーリーの展開となっている。手塚治虫の漫画『ブッダ』
講談社他で、ほぼその内容が分かります。自性院住職談。
本堂に飾られた巻物になった妙法蓮華経全巻。
法華経の写本、 東京国立博物館蔵(法隆寺献納宝物)平安時代。
■写経(しゃきょう);供養などのため、経文(キヨウモン)を書写すること。また、その書写した経文。
こころしずかなり。
私たちは普段の生活の中で、大なり小なりいろいろな迷いに悩まされたり、孤独感や不安な気持ちに見舞われることがあります。一方、貪(むさぼ)りの心を起こしてしまったり、物事を自己中心的に考えてしまったり、わがままな心が生じる要因ともなりかねません。こういった心のわだかまりから解放されることは、前向きで健康的な生活のために、とても大切なことではないでしょうか。
■木皮経(もくひきょう);木のかわ。樹皮。に書かれた経文。二匹の猿に住職が書いてあげた経文。
■檀家(だんか);一定の寺院に属し、これに布施をする俗家。だんけ。檀方。寺や僧を援助する庇護者。
■国司(こくし);律令制で、朝廷から諸国に赴任させた地方官。守(カミ)・介(スケ)・掾(ジヨウ)・目(サカン)の四等官と、その下に史生(シジヨウ)があった。その役所を国衙(コクガ)、国衙のある所を国府と称した。くにのつかさ。
■三宝(さんぼう);衆生が帰依すべき三つの宝。仏・法(仏の説いた教え)・僧(仏に従う教団)の称。仏の異称。
■コノハズクが、「ブッポウソー(仏法僧)」;コノハズクは、フクロウの一種。体長約20cmで、日本のフクロウ類では最小。全体淡黄褐色、頭上には耳羽がある。低地および山地の森林に棲み、夜間「ぶっぽうそう」と鳴くので「声の仏法僧」と呼ぶ(下記ブッポウソウは別種)。日本では夏鳥で、冬、南に渡る。本種に似てやや大形のオオコノハズクもあるが、鳴き声は異なる。
ブッポウソウの事を三宝鳥とも言う。ブッポウソウ目ブッポウソウ科の鳥。カケスよりもやや大きく、頭・風切羽・尾羽の大部分は黒色、その他は美しい青緑色で、嘴(クチバシ)・脚は赤い。風切羽の中央に青白色の大斑があり、飛翔時に顕著。本州以南に分布し、山地のスギ・ヒノキなどの大木の高所にすむ。冬は南方へ渡る。霊鳥として名高い。鳴声は、飛ぶときは「ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃぎゃぎゃぎゃ」と鳴き、急降下のときは「げっけけけけ」と鳴く。山梨・長野・岐阜・宮崎の各県の生息地では天然記念物。
■ウグイスが・・・「ホー、ホケキョウー(法華経)」;ウグイスは、スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科の鳥。大きさはスズメぐらい。背面褐緑色、下面白く、白色の眉斑がある。低山帯から高山帯の低木林に至るまで繁殖し、冬は低地に移り、市街地にも現れる。さえずりの声が殊によい。
ウグイスに関した言葉も多く有ります。その中から、
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