落語「にせ金」の舞台を行く 五街道雲助の噺、「にせ金」(にせきん)より
■「にせ金」。もちろん読み方は「ニセガネ」ではなくて「ニセキン」。
■貨幣贋造は厳罰;江戸時代の「公事方御定書」ではもちろん死罪。それが整理緩和され、死刑の適用範囲が減ったが、明治3年の「新律綱領」、明治15年の刑法でも死刑。
通貨偽造の罪(つうかぎぞうのつみ)とは、日本国における犯罪類型のひとつであり、通貨を発行する権限の無い者が通貨、もしくはそれに類似する物体を偽造、変造などにより作成することを内容とする。刑法の第16章に定められている。通貨偽造罪(148条)、外国通貨偽造及び行使等罪(149条)・偽造通貨等収得罪(150条)および収得後知情行使等罪(152条)、通貨偽造等準備罪(153条)が含まれる。
通貨偽造・通貨変造罪(刑法第148条第1項) 偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項) 輸入してはならない貨物を輸入する罪(関税法第109条第1項)
■禁演落語五十三種;この噺はキン演中のキン演落語。戦時中、「はなし塚」に葬られた53話の禁演落語の一つです。戦時中の昭和16年10月30日、時局柄にふさわしくないと見なされて、浅草寿町(現台東区寿)にある長瀧山本法寺境内のはなし塚に葬られて自粛対象となった、廓噺や間男の噺などを中心とした53演目のこと。戦後の昭和21年9月30日、「禁演落語復活祭」によって解除。建立60年目の2001年には落語芸術協会による同塚の法要が行われ、2002年からは、はなし塚まつりも毎年開催されています。
右写真:本法寺「はなし塚」
■江戸から明治に;明治時代初期の日本が行った大々的な一連の維新をいう。江戸幕府に対する倒幕運動から明治政府による天皇親政体制への転換と、それに伴う一連の改革を指す。その範囲は、中央官制・法制・宮廷・身分制・地方行政・金融・流通・産業・経済・文化・教育・外交・宗教・思想政策など多岐に及んでいる。
東京名所常盤橋内紙幣寮新建之図(三代歌川広重) 天童・広重美術館所蔵
■三円五十銭;明治維新の金融制度でも旧幕府時代の貨幣制度を改めて、通貨単位として「両」から「円」を導入、明治4年(1871年)。また国立銀行条例による国立銀行(ナショナルバンク)を経て、通貨発行権を独占する中央銀行としての日本銀行設立(明治15年、1882年)など、資本主義的金融制度の整備も行われた。
左上、十円金貨(明治4年)。右、五円金貨(明治3年)。左下、一円金貨(明治4年)。右、50銭銀貨(明治3年)。
疝気(せんき);漢方用語。下腹部の痛み、睾丸(こうがん)がはれて痛む病気の総称。胃炎、胆嚢炎あるいは胆石、腸炎、腰痛などが原因となることが多い。当時は野菜や食器・手などを十分に洗浄するような衛生観念もなく、また漬物を多食していたことも災いした。 江戸時代には寄生虫病は〈あだはら〉とも呼ばれ、疝気(せんき)という内科疾患には寄生虫病が多かった。
■二日酔い(ふつかよい);酒などのアルコール飲料(エタノール)を、自身の代謝能力以上に摂取することにより引き起こされる、不快な身体的状態。エタノールがアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに代謝され、体内にまだ残ったそれが二日酔いの症状を引き起こす。基本的には、夜間に酒を飲み、翌朝の起床後、顕著に現れる現象を指す。また、宿酔(しゅくすい)とも云われる。急性アルコール中毒とは異なり、生命に直接の危険はないが、しばしば頭痛や吐き気などの著しい不快感を伴う。なお飲酒後、短時間に現れるものは悪酔い(わるよい)という。一般的に二日酔いは悪酔いが翌日になって現れる状態を指す。
■金兵衛はお召し捕り、「にせ金使い」というので、お仕置きになった;可哀想なのは殿様なのか金兵衛さんなのか。
2018年9月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |