落語「表札」の舞台を行く 五代目古今亭今輔の噺、「表札」(ひょうさつ)より
■出典;この噺は、当然新作落語で、鈴木みちを原作で、日本文芸社「新作艶笑落語」 昭和42年 (1967)出版の中に有る「表札」からです。
■五代目 古今亭 今輔(ここんてい いますけ);(1898年(明治31年)6月12日 - 1976年(昭和51年)12月10日)は、群馬県佐波郡境町(現:伊勢崎市)出身の落語家。本名は、鈴木 五郎(すずき ごろう)(旧姓:斎藤)。生前は日本芸術協会(現:落語芸術協会)所属。出囃子は『野毛山』。俗にいう「お婆さん落語」で売り出し、「お婆さんの今輔」と呼ばれた。実子は曲芸師の鏡味健二郎。
「古典落語も、できたときは新作落語です」というのが口癖で、新作落語の創作と普及に努めた。弟子たちに稽古をつける際も、最初の口慣らしに初心者向きの『バスガール』などのネタからつけていた。だが、もともとは古典落語から落語家人生をスタートしていることもあって、高座では古典もよく演じており、一朝や前師匠小さんに仕込まれただけあって高いレベルの出来であった。特に『塩原太助一代記』は、自身が上州生まれだったこともあり人一倍愛着が強く、晩年は全編を通しで演じていた。
■表札(ひょうさつ);居住者の氏名を戸口・門などに標示するふだ。門標。
■初任給3万5千円;2018年の転職人気企業ランキングでは1位が「トヨタ自動車」(月給206,000円~)、2位が「グーグル」、3位が「ソニー」(月給218,000円~)という結果に。1位から4位「全日本空輸(ANA)」までの4社の順位は前年と変わりませんでした。
厚生労働省の統計調査によると、平成29年度の都道府県別の賃金は、東京がトップの377.5千円、次いで神奈川の329.88千円となっています。その他、全体平均である304.3千円を上回ったのは千葉県、愛知県、京都府、大阪府となり、関東圏および地方都市が軒並み給与が高いことが見て取れます。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、大卒初任給の年次推移。データ:賃金構造基本統計調査より。
この噺が出来たのは、昭和42年 (1967)で利夫さんの初任給は当時の平均から比べると、決して低くは有りません。賃金では、初任給(基本給)の他に残業料+扶養手当+住宅手当等が付くでしょうから、生活できないほど困窮する事も無いと思います。
■健忘症(けんぼうしょう);記憶が著しく障害される症候。見聞きしたことを記銘できず、すぐに忘れてしまうもの(前進性健忘)や、ある時からさかのぼって過去の記憶をなくすもの(逆行性健忘)がある。物事を忘れ易い性質。歳を取ると誰しも大なり小なり、この症状が出てきます。
■上野(うえの);台東区西部地区の駅名。1883年(明治16)9月開業。JRの東北線、上信越線等の東京の終着駅。新幹線も上野終着だったが、現在は東京まで延伸され、途中駅の一つになってしまいました。
■桑原(くわばら);雷鳴の時、落雷を避ける呪文として用いる語。また、一般に忌わしいことを避けるためにも言う。雷神があやまって農家の井戸に落ちた時、農夫は蓋をして天に帰らせなかった。雷神は、自分は桑樹を嫌うから、桑原桑原と唱えるならば再び落ちまいと答えたとの伝説に基づくという。また、死して雷となったと伝える菅公の領地桑原には古来落雷した例がないのに因むともいう。
■汽車のお茶;20円。駅弁にお茶は付き物。駅売り弁当の歴史は、そのまま駅売り緑茶の歴史でもあります。その販売は永らく、汽車土瓶入り緑茶の立売という形態でしたが、駅弁立売と同様の理由で立売が、ポリ茶瓶の登場で汽車土瓶が駆逐され、それとて後の缶入り緑茶やペットボトル入り緑茶の登場で、最近はほとんど見ることがなくなりました。
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