落語「しわい比べ」の舞台を行く 六代目三遊亭円生の噺、「しわい比べ」(しわいくらべ)より。別名「しわい家」。
■しわい;吝嗇(りんしょく=ケチ)な人物による、度を越した「始末(=ケチ)」の方法が多く登場する噺。
登場する節約法は、『片棒』、『位牌屋』、『味噌蔵』といった演目のマクラに小咄として差し挟まれることが多い。
しわい家にもいろいろ。この噺に出てくる人物を除いても居ます、いますねぇ~。、
■梅の種を割ると薄皮に包まれた核(さね)が出てきます。これを「仁」といいます。梅の「仁」は別名「天神」といいますが、「梅は食うとも核(さね)食うな、中に天神寝てござる」と言われ、青梅の種には毒(青酸)があるので食さないようにという誡めになっています。落語「しわい比べ」では、一方が梅干しの種を割って中の天神を食するというくだりがありますが、完熟した梅干しには毒は有りません。
■三ボウ;寄席においては、言ってもいい噺は三種類有ります。それぞれの語尾から「三ボウ」と呼ばれた。
■ 隙を出す(ひまをだす);隙をやる。解雇する。奉公人などを解雇する。また、妻を離縁する。
■オキ(燠・熾);赤くおこった炭火。おきび。薪(マキ)が燃えて炭のようになったもの。噺では、火事で焼けてしまった家屋材が炭のように赤く火が付いている物。
■お菜(おさい);副食物。おかず。「惣菜・前菜」。
■嗅ぎ賃(かぎちん);興行でも見物料として眼から入る見料は取ります。化け物屋敷やカッパや大イタチは落語の夜店の題材になっていますが、歌舞伎や映画や演劇等が有ります。また、耳からの情報としては音楽会や講演会、義太夫、落語、講談などが有ります。で、鼻からの臭いだけの料金は何かありますかね~。そうそう、香水などは料金は取りますが、それを付けた人の隣で「良い臭い」だと感じ入っても料金は取られません。嗅ぎ賃だけは別物なんですね。
写真、鰻の蒲焼き。この臭いが何とも強烈で旨そう。
■何でも貰っていく人;数十年前までは屑屋さんという人が回ってきて、買い取っていきました。紙くずや鉄くずや銅線、等は売れました。また空ビンなどは酒屋さんに持って行けばお金になりました。最近では不要品は「メルカリ」等で売れますし、フリーマーケットで売る事も出来ます。プロでは質屋さんが買い取ってくれます。個人的に不要品なんて無いと、全部ため込んでゴミ屋敷になっている家も有ります。
■ただの風より良いだろう;菜畑に撒く肥料は人糞と決まっていました。戦後まで東京近郊のお百姓さんが人糞を回収しに来ていました。その返礼として、自分の畑で取れた野菜を持って来たものです。葉物野菜には人糞の窒素肥料が有効だったので、江戸時代には高額な金額を払って人糞を集めていました。で、肥料の基の臭いだけでも、無いよりは良いのだろうと風として流したのでしょうが、効果の程は・・・。
■早桶(はやおけ);棺桶の粗末なもの。死人のあった時に急速に作るからという。江戸時代、棺桶は文字通り桶で、死体の大きさに合わせて受注生産されたオーダーメイド桶。
■梅干(うめぼし);梅の実を塩漬にし、取り出して日光にさらした食品。6月ころに、赤紫蘇の葉を加えて漬けることが多い。
梅干し。左、塩分濃度20%。 右、塩分濃度8%。見た目だけでは解りません。
■食べ物をけちると;しわい連中が、食事に蒲焼きの臭いだけとか、塩を掛けるとか、梅干しを見るだけで飯を食べるとか言っていますが、そんな事をしたら栄養失調になって早死にしてしまうでしょう。目先の金と寿命を交換しているようなものです。ヤダやだ、そんな生活考えられない。と思っていたら、ダイエットだと言って、似たような事をしている人が居るんですね、高い金出して・・・。
■目から火が出る;顔や頭を強く打った時の感じの形容。決してその明かりで物が照らされて見えるわけでは無い。
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