落語「牛の丸薬」の舞台を行く 桂米朝の噺、「牛の丸薬」(うしのがんやく)より
■大和炬燵(やまとこたつ);四角い箱のような物で、中にある「火入れ」という器に「炭火」または「たどん」を入れ、側面には三日月型などの穴をあけて、四方に熱が広がり、底には熱が伝わりにくくなっていた。写真のような瓦焼きのものは「大和こたつ」と呼ばれた、寝るとき蒲団の足元に入れ、家族が四方から蒲団を敷いて暖をとっていた、昼間は手あぶりとして使用していた。
■干鰯(ほしか);鰯を干して乾燥させた後に固めて作った肥料のこと。
写真:安房の魚油を絞った粕の〆粕の干鰯。油は灯油として利用されました。館山市立博物館蔵。
■1円(1えん);明治の初め頃で、1円と言えば大金で、貰った人は大喜びです。今は貨幣価値が違いますから、5円、10円と言っても喜びませんが、明治の祇園の請求書を見せてもらったことがありますが、1円80銭とか2円20銭とか、ありましたな~。芸子揚げて酒飲んで騒いで、この料金です。この時分に生まれてたらな~、と思いましたが、稼ぎも同じように有りませんでした。(米朝のマクラから)
写真左、明治4年一円金貨。同年十円金貨。
■ごりょんさん(御料人様);商家など中流家庭の若奥様の称。御寮人は後世の当て字。上方では御寮人を、江戸ではご新造と呼ぶ。(大阪ことば事典)
■馬場(ばんば);大阪市中央区にある町名。丁番を持たない単独町名である。
■片町(かたまち);大阪市都島区にある町名。現行行政地名は片町一丁目及び片町二丁目。 大阪城の北側に接する町。大阪市都島区の南部に位置する。北は東野田町、東はJR大阪環状線を挟んで城東区新喜多、南は寝屋川を挟んで中央区大手前及び城見、西は旧淀川(大川)を挟んで北区天満とそれぞれ接する。
■野辺(のべ);① 野原。 「 -の草花」 「山辺も-も花盛り」 「花散ぢらふ秋津の-に/万葉集 36」
■茶屋(ちゃや);日本において中世から近代にかけて一般的であった、休憩所の一形態。休憩場所を提供するとともに、注文に応じて茶や和菓子を提供する飲食店、甘味処としても発達した。茶店(ちゃみせ)とも言う。
現代の日本社会において茶屋はノスタルジーの対象であり、日本国外にあっては日本情緒の象徴の一つである。そのため、観光を主とした演出上の目的から、これを再現した店舗および観光施設は数多く存在する。
木曾街道六拾九次・高崎、広重画。 町外れにある小さな茶屋が描かれています。
■楽隠居(らくいんきょ);隠居して安楽に暮らすこと。また、家督を子息に譲り、気楽に世を送ること。その人。「家督を譲って楽隠居する」。
■靭(うつぼ);大阪市西区の地域名称。現在の靱本町及び江之子島二丁目東部に概ね該当する。かつて靱の海部堀川沿いには海産物市場が形成され、荷揚場は「永代浜」と呼ばれた。また、海産物を中心とする問屋街も広がっていた。噺では靭の干鰯屋と言っています。
■和泉(いずみ);旧国名の一。五畿に属し、現在の大阪府南部にあたる。泉州。大阪府南部の市。中心の府中は、もと和泉国の国府の地。綿布・ガラス工業が盛ん。
■ドイツに留学(ドイツにりゅうがく);ドイツはヨーロッパの北部にある、工業、化学、医薬品で世界の先端を行っていた。戦前は工業・医療・学術・経済・政治・文化等幅広い分野にわたり技術を学ぶため、多くの若者がドイツに留学した。
■詐欺(さぎ);清やんのやったことは、詐欺に相当します。詐欺にもいろいろな策術があります。
単純な思い込みや思い違い(錯誤)がきっかけで術中にはまっていく詐欺。(詐欺師と面識や社会的信頼関係がないため)瞞す側が身分を偽る、あるいは瞞される側の誤解や不明を利用するというのは、古典的部類の詐欺です。以下はほんの一例。(民事に抵触するもの)
■刑法で言う詐欺罪(さぎざい);人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする行為(例えば無銭飲食や無銭宿泊を行う、無賃乗車するなど、本来有償で受けるべき待遇やサービスを不法に受けること。また債務を不法に免れたりすること)、または他人にこれを得させる行為を内容とする犯罪のこと。刑法第246条に規定されている。未遂も罰せられる(250条)が、予備行為は処罰されない。
では、どいうものか、以下に示しましょう。
1 売りつけ詐欺=
物品等の販売を口実として金品を騙し取る。
2020年7月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |