落語「サギ獲り」の舞台を行く 桂枝雀の噺、「サギ獲り」(さぎとり)より
■本来のサゲ;「男が布団の真ん中に勢いよく落ちてきたはずみに四隅の坊さんが頭をぶつけ、一人助かり四人死んじゃった」で、枝雀もこのサゲで演じていました。せっかく男を助けようとした坊さんたちが死んでしまうのは可哀想ではありますので、トランポリンのようにはね飛んで元の屋根に戻ってしまった、と変えたオチもあります。
■円頓寺(”えんとんじ”、地元では”えんどうじ”と呼ぶ);大阪市北区大融寺町6、ここからJR大阪駅までは西に直線で400mくらいです。また五重塔にしがみついた天王寺さんには約5.5km位です。円頓寺は日蓮本宗の寺で扇町通に近い太融寺町のお寺。「落語の『サギ(さぎ)とり』に出てくる円頓寺(えんとんじ)です」。お堂の屋根に立派な相輪(そうりん)が印象的。昔は萩(はぎ)の名所として知られたお寺は、サギ(さぎ)の寝床でもあったようです。大阪駅東側の太融寺町の寺で、今は小さな寺で池はなく萩もないようです。
江戸時代から北野の萩の寺といえば、円頓寺(えんどうじ・えんとんじ)のことだったようです。場所は大融寺の少し西側になります。この辺りまでが北野地区だったんです。円頓寺は落語にも出てきます。「サギとり」という噺で、最近の落語ブームで初心者にも分かりやすくて面白い噺なのでよく掛けられています。当時この辺りはサギがたくさん集まってくる湿地帯だったようです。
上、現在の円頓寺
■こぼれ梅;みりんの本場、愛知県の三河地方の醸造元で搾られたみりん粕(かす)です。そのままお召し上がり下さい。
アルコール分を含んでいますので、食べ過ぎると酒酔いされる場合があります。
■サギ(鷺);コウノトリ目サギ科の鳥の総称。くちばし・くび・脚が長い。飛ぶときにくびを乙字形に曲げる。水辺にすみ魚を捕食するが、草原や森林にすむもの、昆虫などを常食とするものもある。62種が極地・砂漠を除く世界各地に分布。白いダイサギ・コサギやアオサギ・ゴイサギなど。
・ダイサギ=全長95cmほどで、日本産のシラサギ類では最大。首・くちばし・脚が長い。日本には、夏鳥として渡来して繁殖する亜種チュウダイサギと、冬鳥として渡来する亜種ダイサギとがある。
・コサギ=全長約60cmで、白サギ類では小形。全身白色、くちばしは黒、後頭部に数本の長い飾り羽がある。足は黒色で長く、指は黄色。水辺にすみ、カエル・魚などを捕食する。本州以南で繁殖し、一部は南に渡って越冬する。
・アオサギ=全長約95cm。首・足・くちばしは長く、背面は青灰色、風切り羽は灰黒色、後頭の長い飾り羽は青黒色。ユーラシアの大部分およびアフリカに分布。北海道には夏鳥として渡来し、本州・四国では留鳥あるいは漂鳥として繁殖。
・ゴイサギ=全長60cm 内外。頭と背は緑黒色、腹面は汚白色、翼は灰色。繁殖期には後頭から二本の長い黒色の飾り羽がたれる。夜行性で、夕方、水辺で魚やカエルを食べる。温帯・熱帯に広く分布。日本では本州以南で繁殖する留鳥。一部は冬に台湾・フィリピンなどに渡る。五位。 〔醍醐天皇が神泉苑の御遊のとき、五位を授けた故事によるという〕。
■萩(はぎ);マメ科ハギ属の総称。落葉低木。秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。
■松屋町筋(まっちゃまちすじ);中之島公園付近から天王寺動物園までを結ぶ道路。
沿道には、おもちゃ、人形、花火、駄菓子など老舗が集まる玩具の街「まっちゃまち」があります。
距離は、「公園北口交差点(天王寺区)」~「天神橋交差点(中央区)」の全長約4.1km。
南行き一方通行です。
■天神橋(てんじんばし);大阪市の大川に架けられた橋。また同市北区の町名。現行行政地名は天神橋一丁目から天神橋八丁目。
明治初期の天神橋。
■北(キタ);大阪市北区の梅田・北新地を中心とした繁華街の総称。難波を中心としたミナミと並ぶ大阪の2大繁華街の一角をなす。
現在の大阪駅周辺の梅田界隈。
■天王寺さんの五重塔(てんのうじ ごじゅうのとう);大阪市天王寺区四天王寺一丁目11 番18 号。聖徳太子によって建立された大阪「和宗・四天王寺」。
四天王寺は、推古天皇元年(593)に建立されました。今から1400年以上も前のことです。『日本書紀』の伝えるところでは、物部守屋と蘇我馬子の合戦の折り、崇仏派の蘇我氏についた聖徳太子が形勢の不利を打開するために、自ら四天王像を彫りもし、この戦いに勝利したら、四天王を安置する寺院を建立しこの世の全ての人々を救済する」と誓願され、勝利の後その誓いを果すために、建立されました。
http://enjoy-jp.net/kansai/sightseeing/shitennouji/ に境内の建物写真があります。
四天王寺の五重塔。
■五重塔の九輪(ごじゅうのとう くりん);五重塔の上層部である相輪の一部をいう。九重になっているので九輪と呼ばれるが、空中にあるので空輪 (くうりん) とも呼ばれる。もとはインドの貴人の標幟である傘蓋 (さんがい) に由来し、その数が増して九輪となったものである。下から「一の輪」と数え、最上層の輪が「九の輪」と呼ばれる。
東京・浅草寺の九輪。
■紙芝居サギとり;脚本、桂文我。 絵、国松エリカ。 制作、童心社。 一部を紹介します。
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