■色、酒も博打も;三道楽と言われる「飲む打つ買う」を言います。飲む=酒を飲む。打つ=博打、今で言うと競馬等の公営ギャンブル、宝くじ等。買う=江戸時代前より昭和33年まであった遊廓で女を買うこと。この、職業はアダムとイブの時代から、史上初めての商売だと言われます。
男としたら、どれかは生涯抜けられない道楽です。えッ? どれもやらない。それはそれは尊敬申し上げます。
■プロバビリティ;【probability】 ある事が起こり得る確実性の度合。多分そうだろうという可能性の程度。蓋然(がいぜん)性。確率。公算。
プロバビリティの殺人とは?
文豪の谷崎潤一郎は大の探偵小説好き。読むだけでなく自ら安定小説の創作にも手を染めているが、中でも注目されるのが「途上」(大正9年)という短編。この作品の新しさは、江戸川乱歩が“プロパビリティーの犯罪”と名付けた、前例のない独創的なトリックを盛り込んでいる点にある。「途上」の主人公の湯河はサラリーマンで先妻をチブスで亡くしている。この湯河の前に、ある日私立探偵の安藤一郎という男が姿を現し、先妻の筆子の死の真相を暴露するわけだが、変わっているのは湯河の殺人方法。
普通、殺人犯人は、殺そうとする相手を確実に死なせるためさまざまな手段を取る。ところが湯河の採用したのはまったく違っている。直接殺人には結びつかないけれども、危険の確率の高い状況にわざと何度も被害者の身をさらさせてついには目的を達成するというきわめて陰険なやり方なのだ。
妻の筆子は生まれつき心臓が弱かった。そこで湯河は危険を増大させるためぶどう酒を寝る前に飲むようにすすめ、アルコールの味をおぼえさせようとする。それに失敗すると、今度は、タバコを吸わせ、喫煙常習者にしてしまう。また、カゼをひきやすい体質なので、体をきたえたほうがいいと親切にそういって、冷水浴をさせ、心臓病を悪化させようとする。さらに、心臓病に致命的な打撃を与えるような高熱の出るチブスや肺炎にかからせようと、菌のいそうなものを飲み食いさせる。つまり、生水を飲ませたり、刺し身や生カキやところてんを食べさせるといったことを手をかえ品をかえてやるわけである。
「途上」では、私立探偵の安藤のこの指摘に湯河は真っ青になるが、かりにこれが真実だとしても、裁判では、証拠が乏しいうえ、有効な殺人方法ではないのでまず有罪にはできないはずである。“プロパビリティーの犯罪”のプロパビリティーというのは、いうまでもなく確率のこと。この方法は直接犯人が手を下すのではないので、成功すれば完全犯罪になるわけである。江戸川乱歩は、この「途上」に感心して、自分でも、“プロパビリティーの犯罪”を扱った短編「赤い部屋」(大正14年)を書いている。戦後にもいくつかこのトリックを扱った作品があるが、最高傑作は松本清張の「遭難」(昭和33年)だろう。
山岳ミステリーの秀作とされているこの作品では、鹿島槍で遭難死した銀行マンの死の真相をえぐる形を取っているが、作者は、「山でのパーティーの事故は、それが自然発生的なものか、人為的なものか、区別が容易でない」と指摘している。つまり山はもともとさまざまな危険を秘めているだけにちょっとしたことが死を招きやすく、“プロパビリティーの犯罪”が成立する可能性が大きい。それだけに「遭難」には、「途上」や「赤い部屋」以上にリアリティーが感じられるように思う。
権田満治氏の[ミステリー雑学百科]より引用。
■避雷針(ひらいしん);建築物を雷・落雷から保護する仕組みのひとつ。
地面と空中との電位差を緩和し落雷の頻度を下げ、また落雷の際には避雷針に雷を呼び込み地面へと電流を逃がすことで建物などへの被害を防ぐ。そのため、「雷を避ける針」という表記ではあるが、実際には必ずしも雷をはねのけるものではなく、字義とは逆に避雷針へ雷を呼び寄せる、いわば「導雷針」ともなる。
避雷針には落雷時、雷の大電流が到達する。このためそれに耐えうる接地線を避雷針本体から地面まで引き下げ、地中に埋設した銅板などに接続しなければならない。内線規程では、銅板などの接地抵抗値は10Ω以下(専用の接地極の場合は30Ω以下)と規定されているが、これにかかわらず、できるだけ低い接地抵抗値にすることが望まれる。
防護範囲を広くするために、避雷針だけでなく棟上げ導体(長い棒状の導体を屋根などにつける)などを併用する場合もある。これは大きなビルディングや高さのある文化財など、避雷針のみでは十分な防護範囲を得難い建築物などに対して行われる。
日本においては建築基準法により20mを超える建築物には避雷針(避雷設備)の設置が義務付けられている。
写真左、一般的な避雷針。 右、東京スカイツリーの最頂部に設置された避雷針。
また避雷針そのものには落雷するため、避雷針やこれに接続された導線などに触れたり、あるいはその直近に居ると雷撃を被り、死亡することがある。その他、避雷針やこれに接続された導線の直近に電気機器などを配置すると、これに流れる雷電流そのものの分流や電磁誘導作用により破壊されることがある。
避雷針への落雷時、落雷のタイプや規模、接地の種類、大地抵抗率などの条件に関わらず、避雷針の接地極より2.5m範囲内の大地の電位勾配は極めて急であり、少なくともこの範囲内は極めて危険である。
過去に、山道の中腹にあったあずまや(休憩所)には、急に降り出した雷雨を除けるために雨宿りに屋根の下に集まってきた途端、その屋根に落雷があって何人もの犠牲者を出してしまいました。私は数分前にそこを通過していたので、後で詳しい状況を知る事になりましたが、恐ろしいことです。
接地線は通常裸線で皮膜は施されていない。被覆が無い所でも雷が近くに無いときは、電流は流れていないので、触れても感電の影響はありません。
■完全犯罪(かんぜんはんざい);犯行の手口が社会的に露見せずに犯人が捕まらない犯罪を指す。
推理小説やテレビドラマなどにおいて、犯行の隠蔽や題材の一つとして用いられ、主に知的なトリックを用いたタイプと、現実的な確実性を重視したタイプに分類される。
○完全犯罪という語は、一般的なフィクションにおいて以下に挙げる条件の一部または全てを満たす場合に使用される。
・ 犯行が露見しない
・
被害者が見つからない
・
加害者が判明しない
・
証拠が見つからない
・
トリック(犯行の手法)が見破られない
・
法的に裁かれない(法の目をすり抜けるなど)
・
加害者が捕まらない(時効まで逃げ切る、捜査範囲外に逃亡する、寿命で死ぬ、責任能力がない、など)
○犯罪者にとっては、
・ 時効が成立する
・
裁判で無罪判決が確定する
・
全くの別人が犯人として有罪判決が確定する(冤罪)
○現実的には、
・ 時効で未解決事件として処理されているか、捜査続行中となっている事件。
・ 犯人は確定しているが、行方が分からず全国手配になっている犯人。
現実に起こった未解決事件、
・ 世田谷一家殺害事件、2000年(平成12年)12月30日の深夜から翌未明にかけて、東京都世田谷区の弁護士一家4人が殺害された事件。多くの事柄が明らかになっていながら、犯人の特定に至っていないことでも注目される未解決事件。
・ グリコ・森永事件、1984年と1985年に、阪神を舞台として食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件。この事件の犯人者については、「北朝鮮の工作員」、「大阪ニセ夜間金庫事件の犯人」、総会屋、株価操作を狙った仕手グループ、元あるいは現職警察官、「元左翼活動家」、各種の陰謀説など多くの説があり、未だに議論は尽きていない。犯人はキツネ目の男として、モンタージュが作られた。
・ トリカブト保険金殺人事件、1986年(昭和61年)5月20日に発生した保険金殺人事件。アコニチンが即効性のある毒であり、神谷と別れてから1時間40分後に苦しみだした妻に対してアリバイがあると主張した。
・ 大阪市西成替え玉連続殺人事件、大阪市西成のスナック経営の中国籍の女性が主犯の殺人事件。2001~02年に遺産相続目的で夫と「替え玉」の男性2人の計3人を殺害した。
・ 3億円盗難事件、東京都府中市で1968年12月10日に発生した窃盗事件。通称「三億円強奪事件」。後に有楽町三億円事件・練馬三億円事件との区別のため、「府中三億円事件」とも呼ばれる。
1975年(昭和50年)12月10日に公訴時効が成立し未解決事件となった。
日本犯罪史において最も有名な事件に数えられ、「劇場型犯罪」でありながら完全犯罪を成し遂げ、フィクションやノンフィクションを問わず多くの作品で取り上げられている。
・ 外国では、ケネディ大統領銃撃事件、1963年11月22日金曜日、現地時間12時30分にテキサス州を遊説中の第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディがダラス市内をパレード中に銃撃され、死亡した事件。
1時間後に逮捕され犯人とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドは2日後にダラス警察署でジャック・ルビーに銃撃されて死亡し、法廷に立つことはなかった。また、翌年に出されたウォーレン委員会の公式調査報告は事件をオズワルドの単独犯行として大統領は後方から撃たれたと結論づけた。しかしこの調査報告に対して数々の疑惑と反証になるライフル銃の軌道や周囲の状況証拠や証言が出るなど長年にわたって真相についての議論が続き、白昼に多くの人々が見ている前で起こった衝撃的な銃撃による現職大統領の死、犯人がすぐに殺害される意外な展開、その後に暗殺の動機も背後関係もわからず多くの謎を残したまま捜査が終了したことから数々の陰謀説が出て、事件から半世紀が過ぎてもなお論議の的となっている。
・ ジョンベネ殺害事件、1996年12月26日にアメリカ合衆国のコロラド州ボルダーで起きた殺人事件。また、アメリカで最も有名な未解決事件の1つ。当時6歳のジョンベネ・パトリシア・ラムジーが何者かに誘拐され、1996年12月26日に自宅地下から遺体が発見された事件。2020年現在も容疑者の特定には至っていない。
被害者が美少女コンテストでグランプリを何度も獲得し、さらに全米有数のセレブ一家で起こったということもあり、マスコミ関係者から大きく報道された。警察が家族犯行説を取ったことで家族からの協力が得られず、捜査は難航を極めた。
母親のパトリシア(通称・パッツィー)は元ミス・ウェストバージニアで、自身で叶えられなかったミス・アメリカになる夢を娘のジョンベネに託し、美少女コンテストにも積極的に参加させていた。父親のジョンはコンピュータ会社を経営しており、兄弟には3歳上の兄・バークがいた。
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