落語「だんじり狸」の舞台を行く
小佐田定雄 作
■社会人落語家連で寄席囃子をやっている、千一夜社中の三味線を担当している中心人物のブログから、
以前、高輪教会さんで開催させて頂いた寄席で豆ちゃんにこの「だんじり狸」をお願いしたのですが、最後方二階席からの小遊さんの鉦と舞歌姐の太鼓の音が、まさに「遠く雲の隙間から聞こえる様な『だんじり囃子』」に聞こえたことを思い出します。
■「私アホです」言える強さ 落語作家 小佐田定雄さん
深夜ラジオの人気DJだった笑福亭仁鶴師匠のファンで、どんな顔か見てみたいと高座を聴きにいったのが落語の入り口です。落語マニアになったのは大学から。当時は「落語は古典に限る」と思ってました。漫才の台本作家は多いが、「落語作家」と称する人は数少ない。小佐田定雄さん(66)は専業落語作家の第一人者だ。1977年に桂枝雀のために新作落語を書いたのを手始めに、桂米朝一門を中心に落語の新作や改作を手掛けてきた。これまでに書き下ろした新作は250席を超える。
卒業後、損害保険会社の会社員になるが、25歳の時に聴いた枝雀の自作自演の新作落語が、創作を始めるきっかけになった。枝雀師匠は大阪の南御堂で毎月、新作落語を発表する勉強会を開いていて、第1回の公演の「戻り井戸」を聴いた瞬間、「ああ、こんな新作もあるんだ」と目からウロコが落ちた。ただ、回を重ねるうちに、噺の筋が飛躍しすぎて聞き手を置いてきぼりにする傾向に。
その様子を客席で見ていて、「師匠がやりたいことって、ほんまはこんなこととちゃいますか」と原稿用紙10枚ほどの台本をご自宅に郵送すると、師匠から「台本を読んだ。ついては一度会って話がしたい」と電話がきた。次の日曜日、道頓堀の喫茶店で待ち合わせると、「こんな台本を待ってましたんや」と望外なお褒めの言葉。1カ月後、新作落語「幽霊の辻」が日の目を見ることになりました。 「また書きまへんか。もっと書けますやろ」と枝雀のために新作を提供するうちに桂一門の座付き作者に。平日の昼は会社員、夜と休日は作家の二重生活だったが体力的にも限界。専業の落語作家になる背中を押したのは米朝の一言だった。
東京落語の上方化を手掛け、最近は東京落語の脚本も書く。
東京弁をそのまま大阪弁に直すだけではあかんのです。登場人物の気持ちも大阪人にしないと。江戸の場合は誰でもない「与太郎」という愚か者をつくり、「こんなバカなやつがいますよ」と笑う。大阪人は誰かを笑っても、「こいつはアホでっしゃろ、心配しなはんな、あんたもアホですよ、私もアホです」。平気で三枚目になるし、それを喜べる。そこが大阪の強さです。
■1984(昭和59)年10月1日、桂南光(当時べかこ)によって初演。大阪「だんじり囃子」の「チキチンチキチンチキチンコンコン」というせわしない調子を取り込んだ噺。
■だんじり;日本の祭礼に奉納される山車(だし)を指す西日本特有の呼称。「楽車」・「壇尻」・「台尻」・「段尻」・「山車」·「地車」とも表記される。
主に近畿地方・中国地方・四国地方などの祭礼で登場し、「曳きだんじり」と「担ぎだんじり」の2種類に大別される。地方によっては、太鼓台やふとん太鼓などをこう呼ぶ場合もある。
■地車(だんじり・だんぢり)は、神社の祭礼で用いられる屋台・「山車」の一種。主に関西地方で多く見られる。大小2つに分かれた独特の破風屋根を持つ曳き山で、多くの彫刻が組み込まれ、刺繍幕や金の綱、提灯やぼんぼり、旗・幟などの装飾が施されている。主に欅(ケヤキ)を用いて造られており、コマには松が用いられる。
御座船地車(大阪歴史博物館) 堺市中区深井中町西の下地車
■山車(だし、さんしゃ);日本で祭礼の際に引いたり担いだりする出し物の総称。花や人形などで豪華な装飾が施されていることが多い。地方によって呼称や形式が異なり、曳山(ひきやま)・祭屋台(まつりやたい、単に屋台とも)などとも称される。神幸祭などの行事では、この山車が町の中をねり歩き行列となることもある。
車輪の数としては四輪が一般的であり、外車(大八車)様式の輻車(やぐるま〔スポーク式〕)や板車と、内車様式のものがある。また外車様式のものには、車輪に漆や彫金などが施されているものがある。また補助の車輪がついているものもある。滋賀県大津市の大津祭での曳山や三重県北部の石取祭に使われる山車が三輪であり、静岡県森町から磐田市にかけての遠州中東部で引き回される二輪屋台、浜崎祇園山笠のように六輪あるもの、富山県魚津市のたてもん祭りのように車輪はなくそり状になっているものもある。また、それに伴って運行方法、運行形態も異なるものになっている。小城祇園においては、旧来は車輪がついていない山の下に丸太を次々に敷き挽いて運行するという珍しいものだったが、現在は普通に車輪のついた曳き山となっている。
■三大曳山祭;
高山祭(岐阜県高山市)、秩父夜祭(埼玉県秩父市)、祇園祭(京都府京都市)。
■次郎兵衛狸;創作話の狸ですから、落語「権兵衛狸」から取った噺が有りました。
「いえいえわしは人じゃ。無礼な奴め!」と次郎兵衛が怒鳴りながらジタバタ暴れるも、怯む事なく「こっちに来い」と吉五郎は次郎兵衛の首根っこを引っ張り上げまして、焚き火に顔を近づけます。
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