落語「義眼」の舞台を行く 桂文治の噺、「義眼」(ぎがん)
■義眼(ぎがん);入れ目。人工の眼球。
眼球が萎縮して視力を失った場合や、眼球を失った場合に眼窩や眼瞼の形状を正常な状態に保つ目的で用いられる。
義眼の歴史:元の時代、幼時に病気で片目を失った張存という人が腕のいい工匠に磁器製の義眼を作ってもらったという。日本では江戸時代にすでにガラスに彩色したものがあったことは当時の書物にも記録が残っている。ヨーロッパでは戦争による需要の高まりとともに広く普及した。
義眼の歴史は素材の変化に伴うものといってよく現在はアクリル樹脂で作製されているが戦後間もなくまではガラス製であった。日本では独自にその技術を開発し鉛ガラスによる開発にはじまり国策として岩城ガラスにより提供された素材をもとに当時東京大学でガラス加工を行っていた厚澤銀次郎によってその技法が確立された。しかし戦後間もなく合成樹脂の加工技術が導入されたことから厚澤以降日本ではガラス義眼の作製を本格的に行う所までは至らなかった。
義眼は治療用以外にも、水晶などの玉眼で、仏像などの目として使用されます。剥製を作る際にガラスやハードプラスチックで作られた義眼もある。また、人形用やぬいぐるみ用、指輪やペンダントのアクセサリー用の需要もあります。
■犬の目;落語「犬の目」にも義眼の話が出てきます。
■パナマのシャッポ;エクアドル産のパナマ草の若葉を細く裂いて白く晒し、これを編んで作った夏帽子。
■酔い覚めの水千両と決まり;酔い醒(ざめ)めの時分に飲む冷たい水は喩えようもなく美味い味であるということ。アルコールにより体内の水分が不足して、その不足分を身体が欲求しているから。
■心張り棒(しんばりぼう);引戸口などがあかないように内側から斜めに押えておくつっかい棒。
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