落語「徳兵衛炬燵」の舞台を行く 笑福亭鶴志の噺、「徳兵衛炬燵」(とくべいこたつ)より
■笑福亭鶴志(しょうふくてい かくし);(1955年8月24日 - 2020年5月8日)、落語家。本名は冨松 和彦。出囃子『鞍馬』。大阪市出身。
■この上方話「徳兵衛炬燵」は、江戸落語の「按摩の炬燵」に筋書きがそっくりです。比べてみてください。
■番頭(ばんとう);商家の使用人の最高職位の名称で、丁稚 (でっち。関東では小僧)
、手代の上位にあって店の万事を預るもの。 主人に代って手代以下の者を統率し、営業活動や家政についても権限を与えられていた。近世から近代にかけての商家では、奉公人(商業使用人)の長を指している。
■目角(めかど); ①目の端。目じり。めくじら。
■湯たんぽ(湯湯婆);体を温めるために湯を入れて使用される容器。容器は金属や陶器、樹脂などで作られる。簡便な暖房器具の一種。一般的な湯たんぽは、熱源となる湯を注入、排出するための開口部とそれを閉じるための蓋を備えた中空の容器。右写真
■表に細かいもんがチラチラ;冬の噺なので、外では雪が降ってきたのでしょう。炬燵が要るような寒さになっています。
■炬燵(こたつ);日本の暖房器具(一部の外国にも類似の器具が存在する)。床や畳床等に置いた枠組み(炬燵櫓、炬燵机)の中に熱源を入れ、外側を布団等で覆って局所的空間を暖かくする形式である。熱源は枠組みと一体になっているものと、そうでないものがあり、古くは点火した木炭や豆炭、練炭を容器に入れて用いていた。現在は電気装置(電気こたつ)が多い。
脚を曲げて腰を掛けることができるよう床を切り下げている掘り炬燵(切り炬燵ともいう)と、床が周囲と同じ高さの平面の置き炬燵とに分けられる(ただし、台を設ける床置きの掘り炬燵もある)。暖気が逃げないようこたつ布団を広げてかぶせ、炬燵櫓の上には、こたつ板(天板)を置いて、机やちゃぶ台のように使うことが多い。
なお、地方や世代によっては、あんかのことを炬燵と呼ぶこともある。
行火(あんか)は湯たんぽなどとともに暖房用の身近な生活用具であった。冬季など寒いときに、湯たんぽと同じように布団の足下に入れる。湯たんぽと比べたメリットは、朝方になっても冷めることがないこと、つまみで温度調節ができることなど。デメリットは睡眠中に直接肌に当てる器具のため、注意を怠ると思わぬ重傷になりかねない低温やけどの危険性があること、またコンセントから電源を得るため布団の中でコードが足にからみつくことである。
■行水(ぎょうずい);夏の暑いときなどに、湯または水をたらいに汲み、汗を流す入浴法。江戸時代以後主として庶民の洗身法となった。右図。
■御寮人(ごりょん)さん;商家など中流家庭の若奥様の称。
■お子たち;子ども衆(し)。丁稚。江戸では小僧と言った。
■燗冷(かんざ); 燗酒の冷えたもの。かんざまし。燗をしたままで飲まずに冷たくなってしまった酒。
■風呂へ浸けて燗(ふろにつけて かん);燗酒を飲むとき、「お風呂感」を感じることがあります。寒い日に温かいお風呂に入って「気持ちいい~」となるときの感覚です。冬だけでなく、夏に燗酒を飲むときにも感じます。
どんなときにお風呂感があるかというと、甘味やうま味がほどほどにあって、酸味が穏やかなお酒を40度から45度くらいの燗につけたときです。風呂に入っている時に、いい湯だな~、と感じるあの感覚で、温泉につかって燗酒を飲むあの時の感覚です。
■オイド;尻。臀。シリまたはオシリ上品な語とされている。イドの語源はイドコロ(居所)で坐る所の意味で、それがイドとつまったもの。
■香々(こぉこ);(「香(こう)の物(もの)」の「香」を重ねたもので、もと女房詞) 生の野菜を、糠味噌(ぬかみそ)や塩につけた食品。 古くは味噌漬(みそづけ)をいい、また、沢庵漬(たくあんづけ)をいう場合もある。 こうのもの。 つけもの。大根の漬物をいう女房詞。こうこう。こうのもの。お新香。おこうこ。 右写真、沢庵。
■鴨川の水で産湯を;三方を山に囲まれた京都盆地。山から流れ出てくる水は、平地で受け止められて地下に染みてゆきます。この特有の地形が水がめとなって、京の大地は地下に良質な水を豊富にたたえています。その水量は、びわ湖に相当するとも言われ、この良質な水と、豊かな四季の風土が、はるか昔から京の人びとの営みを支えてきました。豆腐・お酒・京野菜など、京都の食を語る上で欠かせない名品を育み、茶の湯の文化や京の伝統が今に受け継がれてきたのも、水の恵みがあったからこそ。「鴨川の水を産湯に使うと美人になる。」という昔からの言い伝えや、文豪が残した数々の名文からも、都と水との縁の深さを感じることができます。
■キナキナ;くよくよ。思いわずらう。
■茶漬け(ちゃづけ);主に米飯に茶をかけた料理のことである。茶をかける御飯の食べ方を指していることもある。お茶漬けと丁寧に呼ばれることの方が多い。場合によっては白湯をかけた場合でも茶漬けと呼ぶことがあるものの、白湯をかけた場合は一般に湯漬けや水漬けと呼んで区別される。あるいは、漬けというそのまま呼んでいる場所もある。炊き干しされた一般的な飯に白湯やスープ(出汁など)を合わせる食べ方は米食の慣習がある地域で広く見られるが、茶を合わせる食べ方は世界的に珍しい。茶粥としては大和国の寺院で古くから食べられていたとされる。レシピによっては、茶ではなく出汁をかけた料理や、出汁に限らず何らかのスープをかけた料理を「茶漬け」と呼ぶ場合があり、呼称には幅がある。
上方落語には、茶漬けをテーマとした噺が多く有ります。例えば「茶漬け閻魔」、「茶漬間男」、「京の茶漬」、「茶漬け幽霊」(江戸落語「三年目」)、等がそうです。上方ではお茶漬けを食べる文化があるのでしょう。
2022年5月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |