落語「鰻の幇間」の舞台を行く 八代目桂文楽の噺、「鰻の幇間」(うなぎのたいこ)
■幇間(たいこ);または「たいこ持ち」、酒席や遊興の場で顧客に同席し、話芸や即席芸でお座敷を盛り上げ、客を楽しませ、ご祝儀やギャラをもらって生活する職業。幇間は置き屋に所属する者と、自分の人脈で顧客を掴まなくてはならない全くの私営業者があり、後者を俗に「野だいこ」と称した。
■師匠(ししょう);芸人に対する敬称。この噺では幇間を持ち上げるのに使っている敬称です。
■麻布の寺(あざぶのてら);麻布は旧の東京府15区の一部で麻布区。現在の港区西部に位置し、元麻布、南麻布、西麻布、麻布十番、東側に東麻布、麻布永坂町、麻布狸穴町(まみあなちょう)、麻布台があります。江戸時代は田畑が連なり風光明媚な所で狸や狐が闊歩していた所です。落語で言えば「黄金餅」の終着地、麻布絶口釜無村の木蓮寺が有った所。また、「小言幸兵衛」の幸兵衛さんの長屋があり、麻布台の西側に接する飯倉片町には「おかめ団子」の団子屋さんが有りました。
■土用(どよう);土用の丑の日(どようのうしのひ)は、土用の間のうち十二支が丑の日である。
夏の土用の丑の日のことを言うことが多い。夏の土用には丑の日が年に1日か2日(平均1.57日)あり、2日ある場合はそれぞれ一の丑・二の丑という。
■鰻を見て(うなぎをみて);鰻屋では、鰻を見て好みのウナギを指定してから料理させた。
■香の物(こうのもの);上記の説明の通り、焼けて出てくるまで時間が掛かり、その間はお新香で時間をつないだ。その為、鰻屋で早く出せとは言わないのが粋と言われた。鰻屋の新香には、店側も大いに気を使った。
■しも;便所、トイレ。文楽は品良く”しも”と言っています。
■心付け(こころづけ);祝儀として金銭などを与えること。チップ。出すときの形としては「ポチ袋」に入れるか、半紙の中央に金銭を入れて回りをひねって飛び出さないようにした「おひねり」で出すのが普通です。
■手銭(てせん);自分の金銭。みぜに。ご馳走してもらってたと思ったら、逆に自分の金で飲み食いしていた。
■食い合わせ(くいあわせ);合食禁(がっしょくきん)。梅と鰻など。これは食禁の代表的な例として挙げられることが多い。鰻の脂っこさと梅干しの強い酸味が刺激し合い、消化不良を起こすとされた。ただし実際には、酸味が脂の消化を助けるため、味覚の面も含めて相性の良い食材である。『養生訓』には「銀杏(ぎんなん)に鰻」と記されており、これが転じたとするほか、高級食材である鰻の食べすぎ防止など諸説がある。江戸時代中期以降に広まった日本固有の俗信と考えられる。鰻も梅干も決して安いものではなく、両方を同時に食べるような贅沢を戒めるため、このような迷信が広まったという説もある。医科学的な根拠は(少なくとも現時点では)見出せない。
他にも、
現在では、食べ物と薬の「飲み合わせ」の方が被害が出るので大変です。特定の薬剤と食品中の成分が体内で相互作用を起こし、薬効または副作用が極端に強まったり、減衰したりする。
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