落語「いが栗」の舞台を行く 桂歌丸の噺、「いが栗」(いがぐり)より
■この噺は、埋もれていた速記本から歌丸自身が再構成したものです。地方色豊かな民話風な落語です。江戸からの旅人の人物像も語られず、いが栗坊主と娘の因縁話もありません。坊主そのものの素性も語られません。歌丸は笑いの少ない噺に所々でくすぐりを入れ、膨らませて演じています。歌舞伎にも熱心で、この落語に芝居の口調を取り入れています。
■雨月物語の「青頭巾」に近いものがあります。原文は長いので、ウイキペディアから引用します。
■いが栗(いがぐり);イガに包まれたままの栗のこと。
■無言の行(むごんのぎょう);落語「こんにゃく問答」にも出てくる、禅家荒行の一つで無言の業。無言で問答を戦わせ真理を解く。このような念力で、娘に苦しみを与えていたのが、旅人に娘は死んだと嘘をつかれ、思わず声を出し途端に念力が消えたか、いが栗坊主の願が達成されたと思ったか、白骨に戻り娘も回復したのでしょう。
■辻堂(つじどう);道の交差する辻にあった御堂。
■庄屋(しょうや);庄屋(しょうや)・名主(なぬし)・肝煎(きもいり)とも呼ばれ、江戸時代の村役人である地方三役の一つ、郡代・代官のもとで村政を担当した村の首長。身分は百姓。庄屋は主に西日本での呼称で、東日本では名主、東北・北陸地方では肝煎と呼んだ。庄屋は荘(庄)園の屋敷、名主は中世の名主(みょうしゅ)に由来する言葉である。
城下町などの町にも町名主(まちなぬし)がおり、町奉行、また町年寄(まちどしより)のもとで町政を担当した。身分は町人。
■八つの鐘(やつのかね);現在の深夜2時頃。幽霊や悪霊が出ると言われる薄気味悪い時刻。
■ひえの雑炊(ひえのぞうすい);稗(ひえ)をメインにした雑炊。歌丸はカナリヤになったようだと言っています。
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