落語「七段目」の舞台を行く 二代目雷門助六の噺、「七段目」(しちだんめ)より
■原話は、初代林屋正蔵が文政2年(1819)に出版した笑話本『たいこのはやし』の一遍である「芝居好」。芝居噺に分類される演目である。元々は上方落語の演目で、いつごろ東京に移植されたかは不明。
題名の由来は、中盤で歌舞伎の演目『仮名手本忠臣蔵』の七段目「祇園一力茶屋の場」にあたる場面が取り上げられていることにある。これは、密書を読まれて仇討ちの計画を知った遊女お軽を、身請けしてから殺そうという大星由良助の腹を察した寺岡平右衛門が、妹であるお軽を自ら手に掛ける手柄によって、敵討の同志に加えてもらおうとする見せ場である。
■仮名手本忠臣蔵・七段目 あらすじ(祇園一力茶屋の段)
「忠臣蔵 七段目」一力の場 広重画。 九太夫と酒を飲む由良助。そのまわりを仲居や幇間が取り巻く。
仮名手本忠臣蔵 七段目 国輝画。 由良助は密書を読むが二階ではお軽が、縁の下では九太夫が盗み読み。
「仮名手本忠臣蔵
七段目」北斎画。 終幕の九太夫成敗。
■父親と若旦那の台詞は、歌舞伎の中の台詞を流用したパロディ。
■成駒屋(なりこまや);中村芝翫家、中村鴈治郎家、中村歌右衛門家。屋号は他に、松嶋屋;片岡仁左衛門家。
播磨屋;中村吉右衛門家、中村又五郎家。成田屋;市川団十郎とその一門の屋号。等々。
■長襦袢(ながじゅばん);肌につけて着る短衣。はだぎ。汗取り。着物と同じ丈の、長い襦袢。
■しごき;並幅の布をくけたりしないで、そのまま用いる帯。抱え帯。兵児(へこ)帯・三尺帯など。扱(しご)き帯。良家の女性は部屋では着物の裾を引きずっています。外に降りるときは、裾を引き上げるため、たくし上げた部分を「しごき」で止め、略式帯とします。
■お軽(おかる);「仮名手本忠臣蔵」の登場人物。早野勘平の妻、山崎の与市兵衛の娘。夫のため身売りした祇園・一力茶屋で、由良之助の助力により敵に内通した斧(おの)九太夫(斧定九郎の父親)を夫に代わって刺す。落語「片袖」参照。六段目の解説有り。
■平右衛門(へいえもん);「仮名手本忠臣蔵」の登場人物、寺岡平右衛門。お軽の兄。お軽が手紙をみんな読んだことを知り、由良助がお軽を請け出して殺そうとしているのを察知。自分の手で殺し、忠義を見せて討ち入りに参加させてもらおうと思っている。
■地袋(じぶくろ);天袋の反対で、違い棚の下などに、地板に接して設けた小さい戸棚。
■下げ緒(さげお);刀の鞘(サヤ)の栗形(クリガタ)の孔に通して下げる緒。革緒・組緒や、わなにして栗形にかける半下緒などがある。この図は小刀(合口)ですから鍔は有りません。
■抜き身(ぬきみ);鞘から出した刀。
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