落語「一文笛」の舞台を行く 桂米朝の噺、「一文笛」(いちもんぶえ)
桂米朝さん3月19日22時36分死去 上方落語の第一人者
端正な語り口で知られる上方落語の第一人者で、文化勲章を受章した人間国宝の桂米朝さんが、3月19日夜、肺炎のため亡くなりました。89歳でした。
桂米朝さん、本名、中川清さんは、大正14年に現在の中国東北部の大連で生まれ、21歳のとき、四代目の桂米團治に弟子入りしました。
笑福亭仁鶴さん「誠に残念です」
桂文枝さん「思い出ありすぎ整理つかない」
桂福團治さん「埋もれていた落語蘇らせた」
小佐田定雄さん「スケールの非常に大きい人」
上方落語が衰退していった時期、米朝師は埋もれていた話を掘り起こし、若手を育て、上方落語を現在のように隆盛にし、上方落語の中興の祖とも言われた。米朝師が居なかったら、上方落語がどの様な運命になっていたかと思うと、文化勲章や人間国宝ぐらいでは言い尽くせないものがあります。今回は師を偲んで「一文笛」をテープから起こしています。品性の佳い落語をご堪能下さい。合掌。
■三棒(さんぼう、三坊);高座で悪口を言ってもかまわないのは、マクラで説明があったが、つん棒、泥棒、けちん棒。ツンボは寄席には来ない、しかし、ご家族にいらっしゃいましたらお許し願います。泥棒、この悪口を言ってもクレームは出ないが、ご家族にあったら・・・。けちん棒は、金を出して笑いに来るようなケチは居ない。
■タバコ入れ;刻みタバコを入れる容器と、キセルを収納する筒とから出来ている。右写真:「鳳凰紋腰差しタバコ入れ」根付けが無く、キセル筒を腰に差し提げる。
■一文笛(いちもんぶえ);最低の価格5厘や1銭で買える子供用の玩具笛。
■匕首(あいくち);合口。つばのない懐中用の短剣。懐剣の類。
「沃懸地(いかけじ)葵紋蒔絵合口」 東京国立博物館蔵 秀の持っている合口はこんな高級品では無い。
■駄菓子屋(だがしや);子供用の玩具や安価な菓子類を売る店。
■伊丹屋酒店;伊丹の鴻池村に山中新六が住みつき酒作りを始めた。濁り酒を造っていたが慶長5年(1600)、双白澄酒(もろはくすみざけ=清酒)の醸造に成功、伊丹の酒の隆盛に繋がる。後に山中新六は鴻池村にちなんで鴻池姓を名乗り、大坂に出て鴻池家の始祖となった。ということから「伊丹屋」の屋号は酒屋の定番。
■この噺は明治に入っての落語;元侍・士族の子供が出てきますが、粥をすすって生きているような極貧の中にあります。母親は亡くなっていて、武士から一般人になるとき一時金を受け取っていたが、金を稼ぐことが出来ない士族ですから、それが無くなれば極貧の生活になってしまいます。
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