落語「樊噲」の舞台を行く 柳家小満んの噺、「樊噲」(はんかい)、別名を『支那の野ざらし』より
■今日一般的に演じられる『野ざらし』は、原話を元に禅僧出身の二代目林家正蔵が改作したものを、『鼻の円遊』と言われた初代三遊亭円遊が爆笑噺としたもの。この噺の原話は中国・明代の笑話本『笑府』にあって、最初の骨が楊貴妃(ようきひ)。しかし、二つ目の骨が原話で張飛(ちょうひ)なのだが、この噺では樊噲になる。原話のサゲは、やや下品な地口。上方の『骨つり』では、石川五右衛門が登場して原話に近いサゲが残っている。 項羽(こうう)、代々楚の武将であった家系の出身。祖父は秦の李信率いる二十万の大軍を破り、最後の楚王・昌平君と共に楚の滅亡まで戦い散った項燕将軍。 劉邦(りゅう ほう)、前漢の初代皇帝。沛県の亭長(亭とは当時一定距離ごとに置かれていた宿舎のこと)であったが、反秦連合に参加した後に秦の都咸陽を陥落させ、一時は関中を支配下に入れた。その後項羽によって西方の漢中へ左遷され漢王となるも、東進して垓下に項羽を討ち、前漢を興した。正式には廟号が太祖(たいそ)、諡号が高皇帝(こうこうてい)であるが、通常は高祖(こうそ)と呼ばれることが多い。
鴻門の会(こうもんのかい)、紀元前206年、敵対する楚の項羽と漢の劉邦が、秦の都咸陽郊外(現在の陝西省西安市臨潼区)で会見した故事。楚漢の攻防の端緒となった。この鴻門の会は劉邦最大の危機であったが、劉邦は臣下の進言を受け入れてその通りに行動し、また臣下も身命を賭して主君の危機を救った。これと対照的に、自らに実力があり自信もあったが故に臣下の進言を聞かなかった項羽は、その後の破滅を招く事となった。
■樊噲(はんかい);初の武将で高祖劉邦に仕えて戦功を立て、鴻門の会では劉邦の危急を救い、劉邦が漢王に成るに及び舞陽侯に封ぜられた。
劉邦が項羽との会談を敵地の鴻門の会で行った時、樊噲は表に待たされていたが危機を察して中へ乗り込んで行った。
■聘珍樓(へいちんろう);創業百三十余年。 日本に現存する最古の中国料理店として、横浜中華街に本店を置く中国料理店。株式非公開会社。
聘珍樓の「のれん」は、張家二代、鮑家二代、龐柱琛、林康弘と続き現代表取締役の林衛で七代目。
■崎陽軒(きようけん);神奈川県横浜市西区に本社を置く、主に焼売(シウマイ)及びシウマイ弁当の製造販売ならびにレストラン経営を行う企業である。
崎陽軒は1908年に初代横浜駅(現在の桜木町駅)構内の売店として開業した。横浜名物のシウマイ(崎陽軒の焼売はシウマイと表記する)、駅弁の「シウマイ弁当」を製造、販売していることで知られる。また、中華料理店やイタリア料理店、シウマイBAR(バル)といった飲食店も経営している。工場は本社の地下(本社工場)と横浜市都筑区(横浜工場)、東京都江東区(東京工場)の3か所に所在。このうち横浜工場は見学やできたてシウマイの試食、プチミュージアムショップでの買い物ができる。
■お箪笥長屋の引出し横丁;裏長屋の一部屋を、シャレを使って言い換えています。
■渭水(いすい);甘粛省渭源県の西にある鳥鼠山(鳥鼠同穴山)を源流とする。陝西省咸陽市の南、西安市の北を流れて黄河中流の潼関で合流。全長818km。流域の盆地は渭河平原(関中)と呼ばれる。
現代中国では「渭水」よりも「渭河」(いが、拼音: Wèi hé)という呼び方が普通である。
支流には「涇渭」という熟語の出典にもなった涇水(けいすい、涇河)、洛水(らくすい、同名の黄河の支流とは異なる。洛河)、灞水(はすい、灞河)、白居易が元稹と別れた灃水(ほうすい、灃河)などがある。
■太公望(たいこうぼう);呂尚(りょ しょう、Lü Shang)は、紀元前11世紀ごろの古代中国・周の軍師、後に斉の始祖。軍事長官である師の職に就いていたことから、「師尚父」とも呼ばれる。諡は太公。斉太公、姜太公の名でも呼ばれる。一般には太公望(たいこうぼう)という呼び名で知られ、釣りをしていた逸話から、日本ではしばしば釣り師の代名詞として使われる。
「明初に描かれた渭水での呂尚と文王の邂逅」 部分。
■馬嵬の浜(ばかいの はま);以前から、唐の皇帝・玄宗の宮廷内で対立を深めていた楊国忠(楊貴妃の従兄)と安禄山だが、楊国忠が宰相となると、遂に対立が深刻化・表面化し、楊国忠の讒言によりその身に危険が迫ると、安禄山は755年11月に挙兵した。これがいわゆる「安史の乱」であり、安禄山は幽州で挙兵したのち、見る見るうちに勢力を拡大していった。これに対して唐は756年6月、哥舒翰に出撃を命じるも、安禄山軍に敗北した。
■ふくべ; 瓢箪 (ひょうたん) のこと。特に、その果実から作った容器。酒などを入れる。ユウガオの変種。果実は苦味が強く、果皮が堅い。容器にし、また観賞用。
■紹興酒(しょうこうしゅ);中華人民共和国の浙江省紹興市の鑑湖の湧水を使って醸造し、3年以上の貯蔵熟成期間を経た黄酒(ホアンチュウ、すなわち醸造酒)です。中国では鑑湖の水で仕込むので、鑑湖名酒とも言う。アルコール度数は14 -
18度。飲用にするほか、料理酒としても用いられる。
黄酒を長期熟成させたものを老酒(ラオチュウ)と呼ぶ。中国青島市の即墨老酒は代表的な老酒(中国以外の台湾・日本で作られたものも老酒と言うこともある)。原料は餅米を使っています。
日本では、紹興酒に角砂糖等の糖類を入れる飲み方が浸透している。これは最近まで質のよい紹興酒が日本に輸入されず、糖類で誤魔化して飲んでいたことが発端であるとまことしやかに言われているが、日本だけでなく江南地方で一般的に飲用される方法なので、この地方の飲み方が伝わった可能性が高い。話梅と呼ばれる甘い干し梅を砂糖の代わりに入れる飲み方もある。
近年ではコーラなどの炭酸飲料で割る『ドラゴンハイボール』も提唱されている。
■楊貴妃(よう きひ);(719年6月22日(開元7年6月1日) - 756年7月15日(至徳元載(元年)6月14日))三十七歳歿、中国唐代の皇妃。姓は楊、名は玉環。貴妃は皇妃としての順位を表す称号。玄宗皇帝の寵姫。玄宗皇帝が寵愛しすぎたために安史の乱を引き起こしたと伝えられたため、傾国の美女と呼ばれる。世界三大美人の一人で古代中国四大美人(西施・王昭君・貂蝉・楊貴妃)の一人とされる。壁画等の類推から、当時の美女の基準からして実際は豊満な女性であった。また、才知があり琵琶を始めとした音楽や舞踊に多大な才能を有していたことでも知られる。
『楊貴妃』部分 上村松園画
■東天紅(とうてんこう);ニワトリの品種の一つ。声良・唐丸とともに日本3大長鳴鶏の一つとして知られ、昭和11年9月日本の天然記念物に指定された。東天紅という名称は、夜明けの東の空が紅に染る頃、天性の美声で謡うところから命名されたといわれている。
■茅台酒(マオタイシュ);中華人民共和国貴州省特産の高粱(カオリャン、蜀黍、モロコシ)を主な原料とする蒸留酒。白酒の一つで、世界三大蒸留酒の一角に数えられる(他はスコッチウイスキー、コニャックブランデー)。強い芳香があり、飲み干した杯にもなお香りが残る。名前は産地の茅台(貴州省北西部仁懐市茅台鎮)に由来する。この酒は1915年に開催されたサンフランシスコ万国博覧会で金賞を受賞。
■ピータン(皮蛋);アヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させて製造する中国の食品。鶏卵やウズラの卵などでつくられる場合もある。高級品には白身の表面にアミノ酸の結晶による松の枝のような紋様がつく。
■ザーサイ(榨菜);アブラナ科アブラナ属の越年草。又、それから作られる中国の代表的な漬物のこと。味はさっぱりとして苦味があり、脂っこい料理に合うと勧められている。
■七尺あまりの大男;樊噲のこと。7尺というと、約212cmですから、巨漢です。
■我が骸骨を乞う;樊噲の辞職の言葉で、「身をささげて仕えた身だが、老いさらばえた骨だけは返して欲しい」、という意。
2021年6月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |