落語「仏師屋盗人」の舞台を行く 桂南光の噺、「仏師屋盗人」(ぶっしやぬすっと)、別名「にかわ泥」より
■泥棒話;マクラから、十両のお金を盗みますと、それで「打ち首」。首を落とされるんでございますね。こら分かりやすいですわ、十両盗んだら首落とされまんねん、二十両でも三十両でも五十両でも落とされることに間違いないわけでございます。
■夜夜中(よるよなか);「夜中」を強めていう語。まよなか。夜ふけ。
■鴨居(かもい);和室の襖や障子などの建具を立て込むために引き戸状開口部の上枠として取り付けられる横木。建具を滑らせるために溝を彫られる。下部に取り付ける敷居と対になっている。簡単に言えば上部に渡されているレールや溝の付いた水平材のこと。ドア等の開き戸の場合は上枠という。施工業者の間では、開き戸のものも全て鴨居と呼ぶこともある。 また、鉄道車両においては、客用扉上部のスペースのことを指すことがある。
■手燭(てしょく);〈ぼんぼり〉は、はじめ広く灯火、茶炉(さろ)などに取りつけたおおいのことであったが、ついで小型の行灯(あんどん)をいうようになり、後にはもっぱら紙・布などをはった火袋を取りつけた手燭(てしよく)または燭台を呼ぶようになった。手燭や燭台はろうそくを用いる灯火具で、普通には灯台のように裸火をとぼしたが、その炎が風のためにゆり動かされ、吹き消されたりするのを防ぎ、かつ失火のわざわいを避けるために、行灯のようにこれに火袋を取りつけた〈ぼんぼり〉が考案された。
左、手燭。 右、和紙で囲まれた消えにくい手燭。
■火打ち石(ひうちいし);石英の一種。玉髄に似て不透明、灰白色・黒色・褐色で、これに鉄片を打ち合せれば火を発する。古来、火打道具として用いた。
■二尺八寸ダテには差さん;昭和前期まで博徒やヤクザの伝統的な喧嘩道具に使用された粗製の短刀を隠語で「ドス」と称し、金に困った一部の包丁鍛冶などが作ったと言われている。ドスの中でも長い物(1尺8寸超)は特に“長ドス”と呼ばれる。二尺八寸(約84.8cm)と一尺八寸(約54.5cm)では、30cmも違いますから見ただけで違いは分かります。
■ドス(どす);短刀の俗称。短刀(たんとう)は、長さ一尺(約30.3cm)以下の刀の総称。刀身の長さが一尺を超えるが短刀の様式を持つものは、特に「寸延短刀(すんのびたんとう)」とも呼ばれる。
■懐持ちと腰下げ(ふところもち こしさげ);
たばこを携帯する袋から出発したたばこ入れは、きせるも合わせて持てるように専用の筒がつけられ、機能的になりました。さまざまな形のなかで、代表的なものは腰に提げる「提げ(さげ)たばこ入れ」と着物の懐(ふところ)に入れる「懐中(かいちゅう)たばこ入れ」です。特に、提げたばこ入れは、腰まわりの装飾品として庶民に愛用され、個性的なものも作られました。また、たばこ入れの発達は、他の袋物の発達にも大きな影響を与えました。
主に武士・女性が着物の懐に入れて使用しました。
■印伝(いんでん);(Indiaポルトガル・Indi
nオランダ)、
印伝革(応帝革=インデア革)の略。羊または鹿のなめし革。細かい皺(シボ)があり、肌柔らかで、多く漆で模様を描き、袋物などにつくる。山梨県の名産。甲州印伝。
■銀のノベ(ぎんののべ);純銀で作られた、中間にラオ(竹管)が入らない一体型の煙管。高価な物でしょうね。
上写真、銀のノベ煙管二種。 たばこと塩の博物館蔵
■三つ引出し(みつひきだし);三段の引き出しの付いた小型の物入れ。
■一両二分(1りょう2ぶ);毎回出てくる江戸時代の貨幣単位。1両=4分、1分=4朱、金貨の数え方で4進法です。1両=現在の貨幣価値にして8万円。2分は、1/2両=4万円。一両二分=1.5両=12万円。
■ウロが来た(うろがきた);うろたえてしまう。うろ=うろたえてすることも定まらぬこと。大阪ことば事典
■大和の寺(やまとの てら);五畿内(きない)の一部。近畿地方の中央やや南寄り、現在の奈良県全体を含む地域の旧名。古代には奈良盆地内のみを意味し、吉野、宇智(うち)、宇陀(うだ)、東山中(ひがしさんちゅう)は、その後に繰り込まれたが、この地が大和政権発生の本源地であることから、日本全体を意味することばともなっている。その中にあった寺から修理の依頼が来た。
■賓頭盧(びんずる);釈迦の弟子の一人。獅子吼(ししく)第一と称される。名がピンドーラ、姓をバーラドヴァージャ。名前の意味は、不動、利根という。十六羅漢の第一。バーラドヴァージャはバラモン十八姓の中の一つ。
写真左、東大寺大仏殿正面にある賓頭盧さん。 右、三津寺にある賓頭盧さん。
■空消(からけし);木っ端を燃やし、水を使わず火のついたまま火消し壷の中に入れると、ちょうど柔らかい炭のようなものができる。新たに火をおこす時、これをつかうと早くおこせる。 消炭(けしずみ)。
■膠(にかわ);古くは古代壁画や原始絵画の時代から使用され、現在でも日本画の制作においては、画面と絵具を接着するものとして重要な素材です。 原料は動物の骨、皮、腸、腱であり、それらを煮出し、コラーゲンという繊維質の高タンパク排出液を濃縮し、固め、乾燥させて造られます。現在は主に牛を原料とする牛膠がほとんどですが、日本ではかつて鹿の膠が多く使用されていたため、鹿膠という名称のみが残っています。その他、魚膠(にべにかわ)兎膠(主にテンペラに使用)等があり、世界各地の民族は各々に入手しやすい動物を原料として利用し製造をしていたといえます。
写真、固形のニカワ。これを細かく折って、鍋に入れ水で焦がさないように糊状にします。
■カンテキ;関西弁で七輪のこと。 詳細な方言地域は不明ですが、おおよそ関西では「かんてき」と言ったようです。 通り過ぎる方をよく見かけます。 昭和20年代までに生まれた年配の方が多いようです。江戸では『七厘』と言った。
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