落語「カボチャ屋」の舞台を行く 十代目柳家小三治の噺、「カボチャ屋」(かぼちゃや)より
■かぼちゃ屋(かぼちゃや);別題は「唐茄子屋」。原話は、安楽庵策伝が元和2年に出版した『醒睡笑』第五巻の「人はそだち」。
元々は「みかん屋」という上方落語の演目で、大正初年に四代目柳家小さんが東京に持ち込んだ。主な演者として、五代目柳家小さんや七代目立川談志などがいる。
上方では「みかん屋」の題で二代目桂ざこば一門が多く演じる。ざこばは六代目笑福亭松鶴から直接教わった。
■カボチャ;ウリ科カボチャ属(学名 Cucurbita)の総称。特にその果実をいう。原産は南北アメリカ大陸。主要生産地は中国、インド、ウクライナ、アフリカ。果実を食用とし、カロテン、ビタミン類を多く含む緑黄色野菜。
黒皮栗かぼちゃ
西洋かぼちゃの一種で、市場の主流。扁円形で表面に少し凸凹がある。洋風の揚げものなどに向く。
青皮栗かぼちゃ
西洋かぼちゃの一種。早熟栽培され、通称「東京かぼちゃ」。関東地方を中心に出回る。皮は灰緑色で、表面の溝が浅い。
赤皮栗かぼちゃ
西洋かぼちゃの一種。あまり普及していない。皮の朱色が美しく、ソテーや揚げものに好まれる。
黒皮かぼちゃ
市場からほとんど消えた日本かぼちゃの一種。形は腰高、皮は黒緑色で、縦に溝がある。ねっとりとし、甘みが少ない。
会津かぼちゃ
市場からほとんど消えた福島県会津地方の在来種。形は菊の花弁のようで、皮は緑色でひだが多く、白いまだらが混じっている。
野菜図鑑「かぼちゃ」 ホームページより
■唐茄子(とうなす);かぼちゃを小型化し、甘味を強くした改良品種で、明和年間(1764~72)から出回りました。
唐茄子もかぼちゃも、初物でも安値で、「初かぼちゃ女房はいくらでも買う気」という川柳があります。そのせいか、「かぼちゃ(唐茄子)野郎」といえば、安っぽい間抜け野郎の代名詞。だから、与太郎が唐茄子を売らされるのには必然性があるわけです。また、「かぼちゃ(唐茄子)野郎」といえば、「安っぽい間抜け」の意味になるため、最初の路地裏で男が怒ったのも無理はありません。
■元と掛け値(もととかけね);元は元値、原価でこの値段で売ったら何のために売り歩いているのか分からない。商売は掛け値をして、初めて利益が出て、お客さんも売り主も生産者も潤うのです。上を向いてお天道さんが喉の奥までさして、喉がカラカラになることではありません。
■半纏・股引・腹掛け;江戸時代、服装によってその人の職種が分かりました。この取り合わせは職人の服装で、現在はお祭りでよく着られる服装です。お祭りでも実戦部隊、すなわち御輿を担いだり、山車を引いたりする人達です。金は出すが口は出さないというスポンサーの旦那衆は着物に羽織を着けます。頭には笠を被りますが、実働部隊は手ぬぐいで、汗をゴシゴシ拭き、決して扇子は持ちません。江戸の職人も親方と呼ばれる頭(かしら)は、人を束ねるのが仕事ですから、祭りの旦那衆と同じように着物姿です。棒手振りや建築関係の一人親方は職人ですから、職人の服装です。下図:熈代照覧より部分
半纏(はんてん)=和服の一種で、江戸時代とくに18世紀頃から庶民の間で着用されるようになった短い上着である。形は羽織に近い。半天、袢天、半纏、絆纏とも書く。主に職人や店員など都市部の肉体労働者の作業着として戦後まで広く使用され、労働者階級を示す「半纏着(の者)」という語があった。種類については袖の形による広袖袢纏、角袖袢纏、筒袖袢纏、デザインの面では定紋や屋号などを染めつけた印袢纏などがある。印半纏は雇い人に支給されたり、出入りの職人などに祝儀に与えられることも多く、職人階級では正装として通用し、俗に窮屈羽織とも呼ばれた。
股引(ももひき)=日本の伝統的ボトムスであり、下着としても使われた。腰から踝(くるぶし)まで、やや密着して覆う形のズボン型。腰の部分は紐で締めるようになっている。安土桃山時代にポルトガルから伝わったカルサオ(カルサンとも)と呼ばれる衣服が原形とされる。
江戸時代には鯉口シャツ(ダボシャツとも)や、「どんぶり」と呼ばれる腹掛けと共に職人の作業服となり、農作業や山仕事などにも広く使われた。
腹掛け(はらがけ)=
①
胸から腹までをおおい、背中で細い共布を十文字に交わらせてとめて着用するもの。多く紺木綿(こんもめん)で作り、前面に幅いっぱいの「どんぶり」と呼ぶ物入れをつける。職人などが着用する。
■路地(ろじ);人家の間の狭い道路。表通りには大店(おおだな)や商店が繋がっていました。その囲まれた中に、裏店(うらだな)とか、裏長屋が作られていました。長屋に入る道、長屋の通路などを路地と言いました。袋小路になっていたり、住民さえ通れれば良いので、棒手振りが回転できないような狭い路地もあったのです。
■二十歳(はたち);はたとせ。20歳。
今の法律では次のような権利義務が生じます。
各年齢の呼び方(以下数え年で言います)
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