落語「蛸芝居」の舞台を行く 五代目桂文枝の噺、「蛸芝居」(たこしばい)
この噺、蛸芝居(たこしばい)は、上方落語の演目の一つで、江戸落語と違って”はめ物”と言って下座さんの三味線や謡い、太鼓、鉦などが入って賑やかです。この演者には、六代目笑福亭松鶴や五代目桂文枝などがいる。
この作品は初代桂文治の作といわれて、後世に改作などを繰り返し現在の形になったとされる。
■五代目桂 文枝(かつら ぶんし、1930年4月12日 - 2005年3月12日 享年74。);上方の落語家。本名は長谷川 多持(はせがわ たもつ)。
■番頭(ばんとう);商店などの使用人の頭(かしら)。手代(てだい)以下を統率し、主人に代わり店の一切のことを取りしきる者。
■丁稚(でっち);幼年の奉公人。商家などに年季奉公する若者。江戸では小僧。コドモ。明治時代まで、商家の丁稚は大抵十歳前後で雇われ、松吉・定吉・茂吉など本人の名の一字下に吉をつけて呼ばれ、店の掃除から使い走り、台所の用事まで一切をやらされた。住み込みで仕着せ、賄いを受けて僅かの給料で勤めつつ、その間に商法・手習いを習って、十七、八歳で手代の列に加えられるとともに、はじめて羽織を着ることを許される。
■手代(てだい);商家の使用人で丁稚と番頭の中間の身分の者。丁稚の間は「~吉」とすべて吉をつけて呼ばれたものが、十七、八歳で手代に昇格すると「~七」となり、さらに二十二、三歳で番頭になると「~助」と変ってゆくのが普通であった。
三井越後屋は現在の三越。その出世階段を上がるには細かい階級があった。江戸東京博物館蔵
■女衆(おなごし);下女・女中。雇われた順あるいは年齢順に、松竹梅からとってお松どん、お竹どん、お梅どんと呼んだ。長じるとお松っつぁん、お竹はん、お梅はんとなる。決して呼び捨てにはしなかった。
■乳母(おんば・うば);「おうば」の転訛したもの。母親に代わって子供に乳を飲ませ、面倒をみる女性。
■三番叟(さんばそう);能・狂言とならんで能楽を構成する特殊な芸能の一つ。能楽の演目から転じて、歌舞伎舞踊や日本舞踊にも取入れられているほか、各地の郷土芸能・神事としても保存されており、極めて大きな広がりを持つ芸能である。なお、現代の能楽師たちはこの芸能を、その文化を共有する人たちにだけ通じる言葉、いわゆる符牒として「翁」「神歌」(素謡のとき)と呼んでいる。
■附け打ち(ツケうち);歌舞伎舞台上手袖で平板の上に樫の角棒(ツケ木)を打って舞台を締める。
■ご隠居(いんきょ);家長が家督を譲って隠退すること。また、その人、その住居。戸主が自己の自由意志によってその家督相続人に家督を承継させて戸主権を放棄することで、昭和22年(1947)廃止された。
■お家はん(おいえはん);その家の主人は「旦那様」(「だんさん」と発音する)、その妻が「ごりょうんさん」(御料人様)。「大旦那様」(「おおだんさん」)は「旦那様」の父、「お家さん」(「おいえはん」)はその妻となります。丁稚達から見たらお婆さんです。
■天保山舟遊び(てんぽうざん-ふなあそび);大阪市港区の天保山公園にある人工的に土を積み上げて造られた、標高4.53mの築山。国土地理院発行の地形図に山名と共に掲載されており、山頂には二等三角点がある。大阪市ホームページ内では日本一低い山と記載があり、天保山山岳会でも日本一低い山としている。平成26年(2014)4月9日、国土地理院による調査により標高3mの山、日和山 (仙台市) の認定により、2番目に低い山となった。渡船もあって舟遊びも出来る。
■前髪の分際(まえがみのぶんざい);江戸時代元服の習慣は庶民にも浸透していき、商家の丁稚が15歳を迎えると半元服と称し、額の角を入れて前髪を分けて結び、履物や服装も変え(肩上げを下ろす)ます。それから17~19歳になると本元服であり、前髪すべてを剃り落とし月代(さかやき)を立てます。
■太閤はんでもボンの守は嫌がった;太閤秀吉は「天下人となるまでに一番苦労したことは、幼少のころ、弟や妹の子守をしたことだ」と語っている。また、子守りが嫌で家を飛び出たとも言われる。
■五座(ござ);戎橋(えびすばし)南詰から東側にかつて存在した浪花座・中座・角座・朝日座・弁天座の五つの劇場のことで、1653年(承応2年)に芝居名代5株が公認されたことに始まる。「五つ櫓」とも言う。道頓堀を代表する劇場群で、近代に至るまで、歌舞伎や仁輪加(軽演劇)、人形浄瑠璃などが賑々しく興行された。
■仮名手本忠臣蔵、六段目(かなてほんちゅうしんぐら・6だんめ);早野寛平切腹の段。
■丸絎(まるぐけ)の帯(おび);丸くくけて中に綿などを入れた男帯。材料はふつう白または鼠木綿。多く僧侶が用いる。舞台の石川五右衛門使用の帯がこれです。
■蓮華(れんげ);連木(れんぎ)。スリコギ。訛ってレンゲ。中華用のスープを飲むためのスプーンとは違います。
■目計り(めばかり)頭巾(ずきん);強盗(がんどう)頭巾:目だけ出して顔と頭をすっかり包み隠す頭巾。苧(からむし)頭巾。
■暗闘(だんまり);歌舞伎で、登場人物がせりふ無しで闇中にさぐりあう動作を様式化した演出方法、またその場面。普通、時代狂言に含まれたものをいい、世話狂言のものを「世話だんまり」という。暗闘。暗争。 ■黒豆を三粒(くろまめをさんつぶ);蛸の食あたりには、これを飲めば治ると言われた俗信。
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