落語「江戸荒物」の舞台を行く 桂米朝の噺、「江戸荒物」(えどあらもの)より
■荒物屋(あらものや);雑多な物が並んでいて、何所で買おうかと言うときは、荒物屋に行けば用が足ります。マクラで米朝が荒物屋について語っています。
■縁の下の舞(えんのしたのまい);上方で行われた「いろはたとえ」の中にある句。無駄骨折り。また、陰でやっている善行は人目に立たぬ意。四天王寺に経供養といって、太子殿の前庭で非公開の舞楽を行う行事があり、衆人の眼に付かずに舞うところから出た語。
■れんげ;れんぎ(連木)、が訛ってれんげ。元は大阪言葉で、”すりこぎ”のこと。
■すり鉢(すりばち);食物をすりつぶしながら混ぜるための鉢。食材を細かな粒子状に砕いたり、ペースト状にすりつぶす加工を行うための調理器具で、陶製のものが多い。味噌・胡麻などを入れて擂粉木(スリコギ)で擂りつぶすのに用いる鉢。漏斗状の土焼製で、内面に縦のきざみ目がある。摺粉鉢。御回し。
■いかき;畿内、奥州にては、いかき。江戸にて、ざるという。
■たわし;古くは藁や縄を丸めたものが洗浄に用いられていた。明治時代の中ごろ、文京区小石川の少年、西尾正左衛門が、醤油屋に奉公していたとき、樽の掃除に使えるものを考えて、母親が作っていた靴拭きマットにヒントを得て考案した。靴拭きマットは従来の縄でできたものとは違い、シュロを針金で巻いた構造であった。しかし、すでに特許が取られていたこと、すぐに毛先がつぶれて効果がなくなることが問題であった。そこで、マットに用いていたシュロを針金で巻いたものを丸めて、亀の子束子と命名し洗浄用に売り出したところ、大ヒット商品となったとされる。その後、シュロより固い繊維である椰子の実の繊維を用いた、より耐久性の高い亀の子束子の製造を西尾が始めて現在に至る。
1908年(明治41年)、西尾は実用新案を取得。実用新案の権利期間が満了する直前に特許を出願し、1915年7月2日に特許第27983号「束子」を取得した。
左、亀の子だわしと、右、ワラを丸めたたわし。
■磨き砂(みがきずな);三重県津市の半田地域は、磨き砂が採掘出来る土地で戦前戦後は、業者も多く盛んで、家庭用洗剤等として幅広く使用されてましたが、大手洗剤企業などの液体洗剤などの発売で、時代と共に使用が激減いたしました。
現在は、義歯制作、金属研磨・加工等、仏具(線香たて 香炉灰等)の灰の代用品として、使用されてます。
また、科学洗剤の使用できない場合などに使われております。
現在、当店の製品は「磨き砂(干粉)と、生砂、ポリ小袋入り」の3種類を販売してます。
以前は、界面活性剤の洗剤を混ぜた、「クレンザー」を製造してましたが、需要がなく、現在は製造しておりません。
当製品は固形・液体洗剤等を含まない、混合していない、天然成分の珪砂を販売しております。
■朸(おうこ);枴とも書く。物を荷(ニナ)う棒。天秤棒。
■荒縄(あらなわ);わらで作った太い縄。ワラで作られているので、腐食し土に還元されます。麻縄ほどの強度はありません。
■麻縄(あさなわ);麻糸をよって作った縄。天然素材なので腐食し、土に還元されます。
摩擦に非常に強い。【用途】街路樹の結束。 造園樹木の根巻。 植木の手入れ等に。
■釣瓶縄(つるべなわ);釣瓶についているなわ。いどなわ。縄やさおの先につけて井戸水をくみあげる桶。〈吊る瓮(つるへ)〉の意といい、木製やブリキ製のものが普通だが、古くは陶製のものであったという。《和名抄》には水を汲む器なり〉とある。古く《日本書紀》神代下に〈豊玉姫の侍者(まかたち)、玉瓶(たまのつるべ)を以て水を汲む〉とある。ポンプ井戸が普及する前は、たいていこの釣瓶を用いた〈車井戸(くるまいど)〉や〈はね釣瓶(桔槹(きつこう)ともいう)〉で水をくんでいた。
■渋団扇(しぶうちわ);柿渋を表面に塗った団扇。丈夫で、実用的なので火をおこすときなどに使った。
■カンテキ;七輪。土製のこんろ。ものを煮るのに炭の価が七厘ですむ、という意によるという。
■パッチ;股引(モモヒキ)の、長くて足首まであるもの。江戸では絹製のものを呼んだ。
■玉糊(たまのり);防染糊の一つのことです。もち米の粉を水で固く練り、煮て、鶏卵、小麦粉、大豆粉を加え、消石灰液で練り固めた友禅用の防染糊です。もち米を煮るとき玉状になるのでこの名がつきました。
■ふのり(布海苔・海蘿);海産の紅藻類の一属。マフノリ・フクロフノリなどの総称。潮間帯の岩石に付着して繁殖。長さ10cm内外。管状で、生長すると中空となり、不規則に分岐し、枝の基部にくびれがある。紅紫色で、表面は粘滑光沢がある。
■片口(かたくち);一方だけに注ぎ口のある器。特に長柄の銚子にいう。
■ベランネェ;べらぼうめの転訛。人をののしっていう語。ばか。ばかめ。
■ベラボォ(べらぼう);1 程度がひどいこと。はなはだしいこと。また、そのさま。「今日はべらぼうに寒い」「べらぼうな値上がり」。
川柳川柳師匠と五街道雲助師匠の会話から「べらぼうめッ」。雲助師のホームページより
■安堂寺橋(あんどうじばし);大阪市の東横堀川に架かる橋。大阪市中央区南船場1丁目1。大阪市中央区松屋町住吉および松屋町と南船場1丁目の間を結んでいる。橋の上を阪神高速1号環状線が通過している。
■十能(じゅうのう);炭火を載せて運んだり、火を掻き熾(おこ)したりするために使う、柄のついたひしゃく型またはスコップ。ひかき。鉄製であることが多く、柄の部分まで鉄製のものを「共柄(ともえ)」、柄が木製であれば「木柄(もくえ)」と呼ばれる。先端部は鋳鉄製あるいは、メッキ薄板金製で角スコップの形状をしている。主な用途は、炭火を利用する囲炉裏あるいは石炭ストーブや暖炉などへの燃料(炭など)の投入や移動。また、溝の掃除、焼却炉の灰かきにも用いられる。
上図:左、炭十能で火の付いた炭を運ぶもの。 右、スッコプ型の十能。
■女衆(おなごし);女中・下女・はしため。雇われた順あるいは年齢順に、松竹梅からとってお松どん、お竹どん、お梅どんと呼んだ。長じるとお松っつぁん、お竹はん、お梅はんとなる。決して呼び捨てにはしなかった。
■辛気(しんき);思うようにならず、くさくさすること。じれったく、いらいらすること。辛気臭い。
■尋(ひろ);(「広」の意)
両手を左右にひろげた時の両手先の間の距離。縄・水深などをはかる長さの単位。1尋は5尺(1.515メートル)または6尺(1.818メートル)。ななひろはぁ:11~13m。
■焙烙(ほうろく);素焼きの平たい土鍋。火にかけて食品を炒ったり蒸し焼きにしたりするのに用いる。ほうらく。炒鍋。早鍋(ワサナベ)。
■焙烙割り(ほうろくわり);1.目かくしをして二手に分れ、竹刀で相手の頭にかぶった焙烙を打ち、多く割った方を勝とする遊戯。 2.焙烙を高所から落して割り、厄除(ヤクヨケ)とすること。
■土器(かわらけ);釉(ウワグスリ)をかけずに焼いた素焼の陶器。
■綯う(なう);数本の糸・ひも・わらなどを、よりあわせて1本にする。あざなう。よる。「縄を綯う」。オチで使われている言葉:いまここで縄を綯うでは、間に合わないと。
■蝿取りリボン;ハエの駆除用品の一種。誘引材が付いた粘着テープを天井や鴨居などから吊し、寄ってくるハエを捕獲する。
■蝿叩き(はえたたき);虫を叩き潰す部分は広く平らな形状となっており、蠅叩きを振り下ろした際の風圧で小さな虫を吹き飛ばしてしまわないように網目状になっている。また、柄の部分は持ちやすいように細くなっている。樹脂製の製品では末端部(吊り下げ穴などが設けられる部分)に叩いた後の虫の死骸をつまむため、取り外し式の樹脂製のピンセットを内蔵しているものもある。
最近は樹脂製のものが多いが、金属製のものもある。かつてはシュロ製で、「はえうち」や「はいうち」(福岡)ともいい、江戸時代慶長年間の『童蒙先習』には「直なる物。棕櫚葉は蠅うちに」とある。
江戸言葉について、
2019年5月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |