落語「清正公酒屋」の舞台を行く 立川談志の噺、「清正公酒屋」(せいしょうこうさかや)より
■噺の内容は東西いずこでも同じようです。シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の二人。
ウエスト・サイド物語:アーサー・ローレンツ作、レナード・バーンスタイン音楽、ジェローム・ロビンス演出、1957年ブロードウェーで初演、1961年の映画版でもヒット。上記「ロミオとジュリエット」を翻案したもので、当時のニューヨークの社会的背景を織り込みつつ、ポーランド系アメリカ人とプエルトリコ系アメリカ人との2つの異なる少年非行グループの抗争の犠牲となる若い男女の2日間の恋と死までを描く。
■清正公(せいしょうこう);加藤清正の敬称。加藤 清正(かとう きよまさ=図)は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将、大名。肥後熊本藩初代藩主。熊本城を築城した。通称は虎之助(とらのすけ)。熊本などでは現代でも清正公さん(せいしょうこうさん、せいしょこさん)と呼ばれて親しまれている。
豊臣秀吉の子飼いの家臣で、賤ヶ岳の七本槍の一人。秀吉に従って各地を転戦して武功を挙げ、肥後北半国の大名となる。秀吉没後は徳川家康に近づき、関ヶ原の戦いでは東軍に加担して活躍し、肥後国一国と豊後国の一部を与えられて熊本藩主になった。明治43年(1910)に従三位を追贈されている。
清正の死因は『当代記』の2年後に唐瘡(梅毒)で死んだ浅野幸長の項に、彼と同様に好色故の「虚ノ病」(腎虚か)とされている。一方で家康またはその一派による毒殺説もある。清正・幸長の両名が同じ病気でしかも急死したため、家康による毒殺ではないかとの憶測も流れた。暗殺説の中でも二条城会見での料理による毒殺、毒饅頭による毒殺(オチに繋がる)など様々にある。
上写真、東京都港区白金台の最正山覚林寺(清正公)に位牌や像が祀られていることから清正公(せいしょうこう)と通称される。
■小町娘(こまちむすめ);小野小町のような美女。地名を入れて、「○○小町」等とも言う。清七が言うには「気立てが良くて、器量が良くて、かたちが良く、立ち振る舞いが良くて、優しい。盆花盆石和歌俳諧が出来て、いつもニコニコしている」。
■盆花盆石(ぼんかぼんせき);盆の上に自然石や砂を配置して風景を創作し、その風趣を味わうこと。また、その石。室町時代から茶の湯・生花などと共に行われ、多くの流派・法式がある。江戸時代、箱庭として普及。盆景。
■和歌俳諧(わかはいかい);和歌や俳諧。和歌は、漢詩に対して、上代から日本に行われた定型の歌。長歌・短歌・旋頭歌(セドウカ)・片歌などの総称。狭義には31音を定型とする短歌。奈良時代には「倭歌」と書き、また「倭詩」といった。うた。やまとうた。みそひともじ。俳諧は、俳句(発句)・連句の総称。広義には俳文・俳論を含めた俳文学全般を指す。
■けんもほろろに;《「けん」「ほろろ」はともに雉 (きじ) の鳴き声。あるいは「ほろ」は「母衣打 (ほろう) ち」からか。また、「けん」は「けんどん(慳貪)」「けんつく(剣突)」の「けん」と掛ける》 人の頼み事や相談事などを無愛想に拒絶するさま。取りつくしまもないさま。「けんもほろろな答え」「けんもほろろに断られる」
■勘当(かんどう);主従・親子・師弟の縁を切って追放すること。江戸時代には、不良の子弟を除籍すること。江戸時代、勘当(久離)の届出を町年寄または奉行所で記録しておく帳簿を勘当帳と言った。久離帳。記録しないのは内証勘当という。
■分家(ぶんけ);家制度(いえせいど)とは、1898年(明治31年)に制定された民法において規定された日本の家族制度であり、親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主(こしゅ)と家族として一つの家に属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。江戸時代に発達した、武士階級の家父長制的な家族制度を基にしている。
■芝山内(しばさんない);今の芝増上寺の外側、東京タワーや大門あたりまでが増上寺の寺領だった。二十五万坪の境内が一万六千坪になって、今は港区役所や図書館、プリンスホテルが旧境内地に有ります。この辺りは鬱蒼とした森が続き、昼なお暗いところであり、芝増上寺を含む森全体を言った。落語「首提灯」で思わぬ事に巻き込まれる江戸っ子がいた。
写真:芝増上寺本堂。
■大川(おおかわ);当時の江戸街中を流れる範囲で言う、現在の隅田川の別称。
■芝居だと、「迷子や~ぃ」;
「迷子捜しの図」三谷一馬画 鉦太鼓で探しまわる迷子捜しの連中。
■清元の出語りが並ぶ;歌舞伎舞踊の伴奏や「他所事浄瑠璃(よそごとじょうるり)」として、舞台上で演奏する「出語り(でがたり)」を担当します。「他所事浄瑠璃」とは、近所の家や隣の部屋などから演奏会や稽古の様子が聞こえる、という設定で演奏される浄瑠璃をさします。
「太夫(たゆう)」とよばれる語りの担当と「三味線方(しゃみせんかた)」から構成され、使用される三味線は、「常磐津(ときわず)」と同じく「中棹(ちゅうざお)」です。情緒あふれる詞章を大変高い音域で、技巧的に語るのが特徴です。
■ナムアミダブツ(南無阿弥陀仏);名号のひとつで「六字名号」のこと。阿弥陀仏への帰依を表明する定型句、これを唱えるのを念仏という。六字の名号。阿弥陀仏に救われた後のお礼の言葉として称えるものです。親鸞聖人も蓮如上人も、阿弥陀仏に救われてお礼の念仏を称える身になりなさいよ、と生涯教えていかれました。「功徳の大宝海」だと言いました。
■南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう);日蓮宗三大秘法の一。妙法蓮華経に帰依する意。これを唱えれば、真理に帰入して成仏するという。題目。本門の題目。七字の題目。御題目。
2019年7月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |