落語「船弁慶」の舞台を行く 桂枝雀の噺、「船弁慶」(ふなべんけい)より
■能の船弁慶(ふなべんけい);『平家物語』、『吾妻鏡』などに取材した能楽作品。作者はほぼ観世小次郎信光と比定されている。源義経、武蔵坊弁慶、静御前、平知盛を主たる登場人物とし、前半と後半でシテの演じる役柄がまったく異なるなど、華やかで劇的な構成が特徴である。
オチの部分は、この能の後半部分を取り入れたパロディーになっています。
上左:波間に立ち薙刀を構える「平知盛」の亡霊 上右:荒波に漕ぎ出す「源義経」
・佐藤忠信;平安時代末期の武将で、源義経の家臣。『源平盛衰記』では義経四天王の1人。父は奥州藤原氏に仕えた佐藤基治、もしくは藤原忠継。
奥州藤原氏から送られ、義経の郎党として随行。兄の佐藤継信は屋島の合戦で討死している。忠信享年は26。(菩提寺である医王寺の忠信の石塔には享年34とある)。どちらにしても若い。「義経千本桜」の「狐忠信」こと「源九郎狐」のモデルになった。
■弁慶(べんけい);武蔵坊弁慶(むさしぼう べんけい。 武藏坊辨慶、生年不詳 - 文治5年閏4月30日(1189年6月15日))は、平安時代末期の僧衆(僧兵)。源義経の郎党。
五条の大橋で義経と出会って以来、彼に最後まで仕えたとされる。講談などでは義経に仕える怪力無双の荒法師として名高い。『義経記』では熊野別当の子で、紀伊国出身だと言われるが詳細は不明。なお、和歌山県田辺市は、弁慶の生誕地であると観光資料などに記している。和歌山県田辺市では、毎年10月第1金曜・土曜日に弁慶誕生の地に因んだ、弁慶まつりを開催している。元は比叡山の僧で、武術を好み、義経に仕えたと言われるが、『吾妻鏡』には文治元年(1185年)11月3日に「辨慶法師已下相從」11月6日に「相從豫州之輩纔四人 所謂伊豆右衛門尉 堀弥太郎 武藏房辨慶」と記されているだけであり、『平家物語』では義経郎党として名があるのみで、その生涯についてはほとんど判らない。一時期は実在すら疑われたこともある。しかし、『義経記』を初めとした創作の世界では大活躍をしており、義経と並んで主役格の人気がある。上図。
上方の遊里で大尽客を判官(ほうがん)と言い、これを九郎判官義経に見立てて、この取り巻きを弁慶と言った。それから人のおごりで遊ぶのを弁慶と言うようになった。
■いかけ屋(鋳掛屋);なべ・かまなど銅・鉄器の漏れを止めるため「しろめ」などをとかし込んで穴をふさぐこと。
■大川(おおかわ);旧淀川(きゅうよどがわ)は、淀川の毛馬水門(毛馬閘門)で南へ分岐する旧・淀川本流。
上流から大川(おおかわ)、堂島川(どうじまがわ)、安治川(あじがわ)が旧淀川として一級河川に指定されている。右写真。
■難波橋(なにわばし);大阪市の大川に架かる橋。浪速の名橋50選選定橋。大阪弁では「ナンニャバシ」と発音する。
大阪市中央区北浜~北区西天満の堺筋にかかる、全長189.7m、幅21.8mの橋である。中之島を挟んで土佐堀川と堂島川の2つの川を渡る。橋の中央で下流側に中之島通を分岐させ、上流側に中之島公園へ降りる階段が設けられている。
■遊山船(ゆさんぶね);船遊びの船。貴人が乗る船で、多くは遊山用。江戸時代以降、川遊びなどに賃貸するものが現れた。
「東都名所両国夕涼図」 歌川国郷画 江戸東京博物館蔵 江戸両国の夕涼み景と同じ”川一丸”です。
■高張提灯(たかはり ちょうちん);長い竿の先につけて高くあげるようにこしらえた提灯。たかちょうちん。
■ミナミ(みなみ);島之内・道頓堀・難波・千日前といった地域に広がる繁華街の総称で、これらの地域が大阪市の中心業務地区である船場の南側に位置することや、大半がかつて存在した南区の区域にあたることからミナミと呼ばれている。ミナミに対して北の繁華街をキタと呼ぶ。右写真。
■桓武天皇(かんむ てんのう);奈良後期~平安初期の天皇。柏原天皇とも。光仁天皇の第2皇子。母は高野新笠。名は山部(ヤマノベ)。坂上田村麻呂を征夷大将軍として東北に派遣、794年(延暦13)都を山城国宇太に遷した(平安京)。(在位781~806)(737~806)
■桓武天皇九代の後胤(こうえん);桓武天皇の第5皇子である葛原親王から数えて9代目の後胤(末裔・子孫)が平正盛であり、正盛の孫で忠盛の嫡男が平清盛ということ。
■平の知盛(とももり);平安時代末期の平家一門の武将。平清盛の四男。母は継室の平時子で、時子の子としては次男となる。同母兄に平宗盛、同母妹に平徳子がいる。新中納言知盛(しんちゅうなごん とももり)です。
平家方きっての知将であり人格者、
桓武天皇の後胤(子孫)、壇ノ浦で義経に負けて、我が身に錨を巻き付け、鎧二領着て、壇ノ浦の水底深く沈んで亡くなった武将。
■五大明王(ごだいみょうおう);密教で、威力ある五明王の総称。中央の不動明王と東南西北の四方に配される。東:降三世(ゴウサンゼ)明王・南:軍荼利(グンダリ)明王・西:大威徳(だいいとく
)明王・北:金剛夜叉明王(台密では烏枢沙摩ウスサマ)の各明王。五大尊。五大忿怒。
■祈り(いのり);能の囃子事のひとつ。能でワキの僧や山伏が数珠をもんで襲ってくるシテの鬼女を祈り伏せる動きの激しい働き事。祈り働き。
■仁輪加(にわか);俄狂言の略。素人が座敷・街頭で行なった即興の滑稽寸劇で、のちに寄席などで興行されたもの。もと京の島原で始まり、江戸吉原にも移された。明治以後、改良俄・新聞俄・大阪俄といわれたものから喜劇劇団が生れた。地方では博多俄が名高い。茶番狂言。仁輪加。
■太鼓持ち(たいこもち);宴席などに出て、客の機嫌をとり、その席のとりもちをすることを職業とする男。幇間(ほうかん)。男芸者。
■仲居(なかい);遊女屋・料理屋・旅館などで、客に応接しその用をする女中。
■割り前(わりまえ);割り当てる高。分配額。配当額。割り勘。
■紅白の源平(こうはくの げんぺい);源氏は白旗、平氏は赤旗を用いたからいう、 白組と紅組。
■シゴキ(扱き帯);女の腰帯のひとつ。一幅(ヒトハバ)の布を適当の長さに切り、しごいて用いる帯。抱え帯。
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