落語「長者番付」の舞台を行く 三代目桂三木助の噺、「長者番付」(ちょうじゃばんずけ)・別名「うんつく」
■東の旅;この噺は上方種・長編の一部。古くから親しまれた上方落語の連作長編シリーズ
「東の旅」の一部。
■造り酒屋(つくりざかや);造り酒屋は本酒屋ともいい、醸造元で、卸専門の店ではこの噺のように小売はしない建前でしたが、地方には、小売酒屋を兼ねている店も多く見られました。現在では酒造免許と小売り免許は違うので、蔵元さんでも小売り免許を持たないと、一般の消費者に売ることは出来ません。
蔵元の店先にツルされる杉玉。「新酒が出来ましたよ」と言うアピール用ディスプレー。
■うんつく;知恵の足りない者を卑しめていう語。まぬけ。あほう。この噺の、上方落語の演題でもあります。うんつくは運尽と書き、「運尽くれば知恵の鏡も曇る」(貧すれば鈍する)ということわざから、上方言葉で阿呆、野暮の意味が付きました。
したがって、「ど運尽く」は大馬鹿。「ど」は上方の罵言なので、本来は江戸落語にない語彙で上方落語のものが、そのまま残ったのでしょう。
ところが、後にはこれをもじって、本当に「運付く」で幸運の意味が加わったから、ややこしくなりました。
■本街道(ほんかいどう);江戸時代、脇街道に対して、五街道のこと。
■立場(たてば);五街道等で次の宿場町が遠い場合その途中に、また峠のような難所がある場合その難所に、休憩施設として設けられたものが立場。茶屋や売店が設けられていた。俗にいう「峠の茶屋」も立場の一種である。馬や駕籠の交代を行なうこともあった。藩が設置したものや、周辺住民の手で自然発生したものもある。また、立場として特に繁栄したような地域では、宿場と混同して認識されている場合がある。この立場が発展し、大きな集落を形成し、宿屋なども設けられたのは間の宿(あいのしゅく)という。
■ミミズク;フクロウ科のうち羽角(うかく、いわゆる「耳」)がある種の総称。
羽角がある以外はフクロウ科に同じ。
羽角は、長く伸びたものから、コミミズクのようにほとんど判別できないものまであり、形もさまざま。
■タバコの葉(たばこのは);タバコの葉の大きさは、大きいもので長さが約70cm、幅が約30cmくらいです。草丈は、花が咲くころで約120cmまで生長。ひとつの苗には約20枚の葉が付き、上から数枚ずつ、
上葉(うわは)、本葉(ほんぱ)、
合葉(あいは)、中葉(ちゅうは)
と呼ばれています。
葉の付く位置によって、味や香りにも違いがあり、
これらをブレンドすることによって
「たばこ」の喫味が調えられていくのです。
(JTの解説より)
■四斗樽(しとだる);四斗入る樽。一斗は一升瓶で10本。合計40本分の酒が入る。それを馬の背中の両側に積むので倍になり、そんな量は道中に持参することは不可能。
■六部(ろくぶ);六十六部の略。法華経を66回書写して、一部ずつを66か所の霊場に納めて歩いた巡礼者。室町時代に始まるという。また、江戸時代に、仏像を入れた厨子(ずし)を背負って鉦(かね)や鈴を鳴らして米銭を請い歩いた者。
「六十六部」 明治中期 バックの橋は日光・神橋 「古い写真館」朝日新聞社 落語「花見の仇討ち」より
■江戸駿河町の呉服屋;現在の東京・日本橋室町の三越です。
■新川(しんかわ);現在の中央区新川。江戸時代は新川という地名は無く、霊岸島と言った。その脇を流れる堀の名前が新川と言った。ここには上方の酒問屋が集まっていて、現在も問屋さんが群居しています。落語「宮戸川」の舞台です。
■利き酒(ききざけ);酒の善し悪し、等級を吟味すること。
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