落語「短命」の舞台を行く 立川談志の噺、「短命」(たんめい)別名「長命」より
■題名の短命ですが、あからさまに「短命」では縁起が悪い。ではどうするか? 短命では無く、「長命」の方が聞こえが良くて縁起がイイ。で、オチの部分を取って、長命となった。中身は全く同じですから、そんな事にこだわっている閑があったら、若手さん、もっと中身を磨いて欲しいのは私だけでは無いと思います。
長命はもう一つの落語「寿限無」に出てくる主人公の名前が、「寿限無 寿限無
五劫のすり切れ 海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末 食う寝るところに住むところ やぶらこうじのぶらこうじ パイポパイポパイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」。長久命君を縮めて、長命といいます。
■隠居(いんきょ);この噺の中では隠居とか大家さんだとか、物知りの先生だとかは言っていません。大先輩なのでしょうが、若い人に説明するのにはこの位回りっくどい事を言わないと、いけないかも知れませんが、八っつあん程の所帯持ちがチョット理解を得るのに時間が掛かったようです。私ですら、もう少し早く分かりましたから。
隠居:世事を捨てて閑居すること。家長が官職を辞しまたは家督を譲って隠退すること。また、その人、その住居。戸主が自己の自由意志によってその家督相続人に家督を承継させて戸主権を放棄すること。中世の武家法以来の伝統的な法制であるが、1947年廃止。同じように、商家の旦那も息子に譲って別家に住んだ。
隠居したからといって全く安心して相続人に後を託して生活していたわけではない。
■短命の理由;腎虚(じんきょ)が原因だと言われます。腎虚って何だッ?
きのふはけふの物語に、精力が尽き果てたような老人が薬屋にやって来ました。「精力減退の薬が欲しい」と言います。驚いたのが薬局のご主人、「そんな薬を飲んだら、死んでしまいますよ」、「いえ、女房に飲ませるんです」。
日本の『末摘花』(川柳本)にも、「おごる平家・・・」をもじって、
フランス小話に、孫のような娘を射止め、新婚旅行にイタリアに来た。景気ズケにバーに来てポルト(ポルトワイン=ポートワイン)を一杯注文したら気の利いたバーテンが、ポルトは精を減らすからシェリー(スペイン・アンダルシア州で生産される酒精強化ワイン)にしなさいと薦められた。翌晩、バーに来て「私にシェリーを、それから女房にポルトを1ビン届けてくれたまえ」。
古今東西、栄養が行き届かなかった時代には男は苦しんだのでしょう。男が苦しんだ病気に現代では前立腺肥大があるでしょうが、これも江戸時代には疝気(せんき)といって、「疝気の虫」の主人公で、漢方で腰腹部の疼痛を起こす悪玉。特に大小腸・生殖器などの下腹部内臓の病気で、発作的に劇痛を来し反復する状態を指します。
■『何よりもそば(傍)が毒だと医者が言い』。蕎麦は冷えるから毒だと言うのは誤解も甚だしい。
蕎麦の花
■ヤマ;数の隠語で3。山の縦棒が3本から来ていると言います。
■恵比寿様(えびすさま);【恵比須・恵比寿・夷・戎・蛭子】七福神の一柱。もと兵庫県西宮神社の祭神蛭子命(ヒルコノミコト)。海上・漁業の神、また商売繁昌の神として信仰される。風折烏帽子(カザオリエボシ)をかぶり、鯛を釣り上げる姿に描く。3歳まで足が立たなかったと伝えられ、歪んだ形や不正常なさまの形容に用い、また、福の神にあやかることを願って或る語に冠し用いたともいう。
えびす(右図)は日本の神で、現在では七福神の一員として日本古来の唯一(その他はインドや中国由来)の福の神である。古くから漁業の神でもあり、後に留守神、さらには商いの神ともされた。えびす神社にて祀られる。日本一大きいえびす石像は舞子六神社に祀られており、商売繁盛の神社とされている。
「えびす」という神は複数あり、イザナギ、イザナミの子である蛭子命(ひるこのみこと)か、もしくは大国主命(大黒さん)の子である事代主神(ことしろぬしかみ)とされることが多い。少数であるが、えびすを少彦名神や彦火火出見尊とすることもある。また、外来の神とされることもあり、「えびす」を「戎」や「夷」と書くことは、中央政府が地方の民や東国の者を「えみし」や「えびす」と呼んで、「戎」や「夷」と書いたのと同様で、異邦の者を意味する。このように多種多様の側面があるため、えびすを祀る神社でも祭神が異なることがある。
■婿さん(むこさん);娘の夫。特に、娘の夫として家に迎える男。結婚の相手としての男。また、婿となって嫁の家(の籍)に入ること。
今では個人(二人)をメインに考るのですが、家、家系を主に考えた制度です。夫は、婿養子になることにより、妻の親の嫡出子、推定相続人となる。そのため、跡継ぎとして男性を欲する家がある場合に行われることが多い。
日本では、婚姻すると夫の氏を夫婦の氏にすることが圧倒的多数である。そのため、婚姻の際に夫婦の氏として妻の姓を選択したことだけで、「夫が婿養子になった」と勘違いする人がいる。しかし、それだけでは妻の親と養子縁組したことにはならず、単に戸籍の筆頭者を妻にしたに過ぎないため、妻の親の嫡出子・推定相続人にならない。
2016年8月記 前の落語の舞台へ 落語のホームページへ戻る 次の落語の舞台へ |