落語「正月丁稚」の舞台を行く 二代目桂小南の噺、「正月丁稚」(しょうがつでっち)より
■二代目 桂 小南(かつら こなん);(1920年1月2日 - 1996年5月4日)は、東京で上方落語を演じた落語家。特に「いかけ屋」、「ふぐ鍋」、「菜刀息子」で知られる。本名は谷田 金次郎(たにた きんじろう)。享年77(満76歳没)。
■丁稚(でっち);職人または商人の家に年季奉公をする年少男子。雑役に従事した。同じ呼び名でも上方では「丁稚」、関東では「小僧」と言います。で、この噺は上方落語だと分かります。
■奉公人の休日;江戸時代は奉公に出た年少者は、年に2回の休みしか貰うことが出来ませんでした。当然、正月は休みの対象にはなりません。
■除夜の鐘(じょやのかね);大晦日の夜半、年越しに深夜0時に諸方の寺々で、百八煩悩を除去する意を寓して108回撞く鐘。
■『新玉の 年とちかえる あしたより 若柳(わかやぎ)水を 汲み初めにけり』は、縁起担ぎの言葉で、新年初めて井戸の水(若水)を汲むのに、唱える歌です。落語の「七福神」(かつぎや)では、こう教えられた下働きの清蔵は定吉と同じ、『目の玉のでんぐり返る明日より末期の水を汲みにけり』と言い間違えています。
■お雑煮(おぞうに);餅を主に仕立てた汁もの。新年の祝賀などに食する。餅の形、取り合せる具、汁の仕立て方など地方により様々な特色がある。
■お福茶(おふくちゃ);お茶の中に昆布と小梅が入った茶。昔、都に疫病が流行した時、ある僧がお茶によって人々の苦しみを救いました。その徳にあやかる意味から、時の天皇が年の始めに”お茶を服する”ようになったとか。以来、年賀の行事として一般に広まったという。
■『裏閉め(浦島)太郎八千歳』;浦島太郎が八千歳まで生きたというシャレ。
■『東方朔は九千歳』;東方朔は九千歳まで生きたというシャレ。
■『震えの権助(三浦の大助)百六つ』;三浦の大助百六ッつのシャレ。
■『掛かるめでたきところに如何なる悪魔が訪れようともこの清が引っ捕らえ繻子(しゅす)の帯へさら~りさら~り』;お清さんの台詞ですが、落語「厄払い」のご祝儀を貰うための文句です。
■『夜具払いましょう夜具落としぃ~』;定吉の台詞。今まで悪態ばかりついていたのに、最後に良い事を言いました。『厄払いましょう、厄落としぃ~』のもじり。
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